【小島慶子】息子と話して見えてきた「オンライン授業の大きな課題」とは_img0
 

今、西オーストラリアのパースで暮らしている夫と息子たちとは、毎日FaceTimeの画面越しにコミュニケーションしています。離れていても関係が薄まることはないですが、それでも互いになるべく「気配」を感じたくて、何も話さない時もつなぎっぱなしにしています。それぞれに自分のことをしているけど、家族が近くにいる安心感・・・ってありますよね。その何も話していない時間が、実は関係を育てているのではないかなと思います。

 

そういう非言語の信頼関係が重要なのは、家族だけではありません。友人や教師との関係もそうですよね。

オーストラリアは早い段階でかなり厳しい移動制限措置をとり、新型コロナウイルスの感染者数の増加を抑制することに成功しつつあります。5月に入ってからは、外出や集会の制限が少しずつ緩和され始めました。息子たちは4月の半ばから自主的に自宅学習に移行し、そのまま秋休み(南半球は今、秋)に突入。5月からの新学期では、オンラインで授業が再開されることになっていました。先生たちは3週間ほどの秋休み中に突貫工事で体制を整え、オンライン授業のマニュアルも配布されました。息子たちは「なんでわざわざ家で制服着なくちゃいけないんだよ。カメラはオフにしちゃいけないんだってー」などとぶつくさ言っていましたが、感染者数の増加が抑制されつつある状況を受けて、5月上旬の新学期スタート直前に政府が学校再開を宣言。高3の長男も中3の次男も、初日から登校しています。

実は、自宅学習中も、息子たちは学校から出された課題にオンラインで取り組んでいました。オーストラリアでは学校でのICT導入が日本よりも進んでおり、ハイスクール(中高一貫校)に上がると、ひとり一台PCを持って通学します。賄えない子には学校が貸与。全員に国からメールアドレスが割り当てられ、それを使って学校のサイトにログインして、教材や連絡事項、テストの結果や成績表などの情報にアクセスするのです。課題の提出などもそのメールアドレスで行います。マイクロソフトのwordなど、学習に必要なソフトも無料でダウンロードできます。

親も学校とメールでつながっており、サイトにもアクセスできるので、学校便りや教師からの連絡はメールで届くし、成績表もサイトにアクセスして確認することができます。遠足などの申し込みも、メールからアプリを通じて行えるので便利。「社会科の課題が未提出です」「今日、学校で注意されました」「成績が良かったので表彰されました」「1時間目を無断で欠席しました」などのお知らせが逐一届くので、子どもの様子を把握することができます。西オ―ストラリア州では、学生証はスマートライダーという公共交通機関共通プリペイドカードと一体化していて、学食での電子決済も可能。

こうしたベースがあるため、先生たちは準備に大わらわとはいえ、日本よりはオンライン授業への移行がしやすいのではないかと思います。

 
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