幼い頃から本に親しみ、勉強やキャリア形成に本の力を活かしてきた“読書のプロ”の吉田さんですが、「どんな本がいいですか?」と受講生から聞かれると、「まずは好きな本から読んでみて」と、自由な読書をすすめるといいます。
「もちろん、私なりにおすすめの本はあります。しかし、それは単に、私のおすすめ。万人にとって常に“正しい”選択ではありません。読書には正解はありません。
『あの本は読んでおかないと恥ずかしい』とか『最低でもこれは読んでおかなくちゃ』という“呪い”から、まずは自由になりましょう。自分が気になる本を選ぶ。読みたいなと素直に思った本を読む。名作でなくても、 文学史に残るような古典作品でなくても、まったく問題ありません」
さらに吉田さんは、読書にコンプレックスのある人ほど、以下のような“呪い”がかかっている可能性があるといいます。
●「読書」というのは少し敷居が高い。
●教養があるかないかの判断材料にされてしまう。
●読書が好きというと感心されて、あまり本を読まないというとバカにされる。
●〇〇を読んだことがあるかどうかが、一種の「踏み絵」になる。
その上で吉田さんは、「読書は“苦行”ではない」と断言。読んでいないから恥ということはなく、「正しい読書」に正解はないと語ります。
私自身、読書に対して胸を張れなかったのは、吉田さんの指摘するような呪いがかかっていたからだと気が付きました。
そこで吉田さんは、かつて小学生の時にやったような「朝読(朝の10分読書)」のように、1日10分間だけ読書にあてる時間を持つことをすすめます。
「いつでも本が身近にあるという環境を整えて、1日の中で10分程度のスキマ時間を読書に充てる。読書習慣への第一歩は、それで十分です。いきなり意気込んでがんばりすぎないこと。それが重要です」
また、1冊から多くのことを学ぼうとするよりも、「一箇所でもためになることがあればラッキー」くらいの気持ちではじめることが、長続きさせるコツとのこと。
読書は「即効薬」ではなく、「漢方薬」のようにじわじわと積み重ねることで人生に効いてくる、と吉田さんは語っています。
お家時間が増えた今こそ、苦手意識を取り払い、「読んでみたい!」とビビッときた本から、10分間読書をはじめてみてはいかがでしょうか。
『明日の自分が確実に変わる 10分読書』
著者:吉田裕子(集英社/税込1210円)
「読書は自由なもの」「“スマホか本か”じゃなく“スマホも本も”」など、読書を身近にしてくれる、現役国語教師発の「読書術」が満載。おすすめ本リストも掲載されています。
構成/小泉なつみ
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