フードジャーナリストの小松宏子さんが、最新の食のトレンドを紹介します。 

ステイホームが基本の今、上手にお取り寄せを織り交ぜて、食卓を豊かにするということも、もはやスタンダードになっています。せっかくなら、自分で料理するよりも格段に美味しい、そんな効率のよいものを取り寄せたいですね。実は、誰もが作る簡単な料理と思われているパスタこそ、まさに、そのジャンル。麺がゆで上がるタイミングにソースのでき上がりを合わせて、手早く乳化させながらからめる、これはプロと素人では格段に差が出るものです。そこで今回は、取り寄せがいのある、名店のパスタをご紹介します。


● 円熟の名店「アクアパッツァ」の
トマトソースとボロネーゼソース

ボロネーゼソース¥1200
トマトソース¥1000

オーナーシェフの日高良実さんといえば、1990年に創業以来、日本のイタリア料理界を牽引し続けている重鎮。そんな老舗の、イタリア料理の基本ともいえるトマトソースとボロネーゼ(ミートソース)の2種が取り寄せ可能とは嬉しい限りです。誰しも食べたことのあるソースなだけに、自分の作るものとどれぐらい違うのかしら? とそんな興味もわきます。トマトの旨みを存分に凝縮させ、さらに、糖度の高いプチトマトをアクセントに加えたトマトソースは、爽やかな味わいの中にしっかりとコクがあり、おいしさがあとを引きます。一方のボロネーゼは大人っぽい、キリッとした品格のあるミートソースです。香味野菜を甘みと香りを引き出すようゆっくり炒め、炒めた牛挽き肉を加えて、さらにじっくり煮込んだ味わい深さは、噛みしめるほどに滋味が広がります。パルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりすりおろしていただけば、まさにリストランテの味。合わせる麺は、トマトソースがやや細目のスパゲッティーニ、ボロネーゼはスパゲッティがぴったりです。

 

 


● 創作イタリアンの「サローネ」グループの
「パスタ世界一のシェフがつくる究極のアンチョビソースパスタセット」
「イタリアで5年修業したシェフがつくる究極のミートソースパスタセット」

 
 

横浜、日比谷、西麻布などに展開する、創作イタリアンのレストラングループ。お家で簡単に本格イタリアンをテーマに、ソースとパスタのセットを販売。なかでも一番人気が究極のアンチョビソース。2019年10月にパリで開催された、バリラ主催のパスタの世界大会で優勝した弓削啓太シェフが手掛けたソースです。材料はシチリア産のオリーブオイルとアンチョビ、玉ねぎ、ニンニクのみ。じっくりとあめ色になるまで玉ねぎとアンチョビを炒めて作った、シンプルながらも豊かな味わい深いソースです。また、究極のミートソースは、イタリアの子供からお年寄りまで大絶賛したマンマ(母)の味。濃厚な牛のラグーソースにミルキーなベシャメルソースを合わせた秘伝のレシピを、現地で5年修業したシェフが忠実に再現。一度食べたら忘れられない美味しさです。いずれもパスタは、老舗製麺所の「浅草開化楼」とサローネグループの共同開発による『低加水パスタフレスカ』。小麦の香りともっちりしたコシのある食感がたまりません。

 

● 三ツ星リストランテの薫陶を受けた、
レストラン ラッセ 「チーズのラビオリ」

 
 

2011年にオープンするや、注目のリストランテとして、瞬く間に一つ星を獲得。以来、9年間、星を守りぬいています。オーナーシェフの村山太一さんは、マントヴァの三ツ星リストランテ「ダル ペスカトーレ」で約3年半修業し、その精神を受け継いでいます。この「チーズのラビオリ」は、レストランの味を家庭で味わっていただきたいという思いから発案したもの。卵黄100%で練り上げたパスタ生地を薄くのばし、自家製のリコッタ、パルミジャーノ・レッジャーノ、スカモルツァ・アフミカート、マスカルポーネ、カマンベールを秘伝の配合で混ぜ合わせて、包んでいます。乳白色のチーズソースの中に鮮やかな黄色のラビオリが浮き沈みするさまがなんとも美しい。ラビオリに包まれたチーズとソースのチーズが、一体感を持って、口の中で溶けてゆきます。

文/小松宏子
構成/藤本容子


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