行動制限が完全になくなったというわけでもなく、落ち着かない日々が続く今日この頃。人と会いたい、旅に出たいという気持ちが、より強くなっている人も多いのではないでしょうか。
ミモレでも旅行にまつわる記事がたくさんの方に読まれました。

【国内旅行や海外旅行はいつから?】緊急事態宣言解除後の旅事情>>

これからの海外旅行や海外出張で気をつけることについて、新型コロナ感染症患者の診察を続ける、山田悠史医師がまとめてくれました。

 

これから夏休みを迎えるにあたり、旅行を計画していたという方もいらっしゃるかもしれません。しかし残念ながら、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行のために今年は断念せざるを得なさそうです。実際に外務省は、いまだ世界中の多くの国に対し、渡航中止勧告を出しています。

しかし、自宅が国外にあり、これから帰国をしなければならないという方、避けられない出張で国外に出なければならないという方もいらっしゃるかもしれません。かくいう著者の私も、ビザがおり次第、新たな就職先である米国への渡航を控えています。

そこで本記事では、海外渡航に際して生じるリスク、そしてそれに対して講じられる対策について、まとめていきたいと思います。

 


新型コロナウィルスが収束していない今、飛行機に乗っていいのか?


まず、海外渡航を考える上で、飛行機のリスクから目を背けることはできません。

飛行機は、いわゆる「三密」がイメージされやすい乗り物かもしれません。実際のところ感染リスクはどの程度あるのでしょうか。

これについて、新型コロナウイルスの実際のリスクを検討した研究というのは残念ながら報告されていません。しかし、機内クラスターの可能性を示唆した報告は見られます。

この報告では、シンガポールから中国への5時間のフライトに搭乗した乗客325人の中で発生したと思われるクラスターについて記述をしています。まず、この325人に対しては、シンガポールの空港で発熱や症状についてのチェックが行われ、少なくとも搭乗したときに症状のある者はいなかったことが報告されています。

しかし、このうち1名の乗客が機内で発熱の症状をきたし、中国到着後、PCR検査が行われ、COVID-19の診断に至っています。

その後、乗客は全ての方が隔離になったそうですが、このうち最終的に合計12名の方がCOVID-19の診断に至ったことが報告されています。幸い、全ての方が軽症で済んだとのことです。

実際には、これらの方がシンガポールの現地で感染していたのか、はたまた空港の待合室で感染が広がったのか、厳密には定かではありません。が、飛行機内で感染が広がる可能性というのも否定はできない、ということになりそうです。
 

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