GO TO だのNOT GO TOだの、どうしたらいいのかよくわからない今回の4連休。ステイホームを決め込んだ皆さんにも、またバカンスに出かける皆さんにも、連休のお供におすすめしたい本があります。

それは、SATCこと『セックス・アンド・ザ・シティ』の原作者、キャンディス・ブシュネルが書いた「その後のSATC」小説、『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』

あのSATCの「その後」とは? アラフォー以降の恋愛事情に共感必至の小説。_img0
 

ね、タイトルだけで読みたくなるでしょ?

この本のテーマは「50代になってもセックスはみつけられるのか?」ということで、原題は「Is There Still Sex in The City?」。

正確にはこの本はSATCの続編ではなく、キャンディス自身の50代からの恋愛とセックス事情を赤裸々に描いた半・ノンフィクション小説。だけどこれが、めっぽう面白い! 久々に一気読みしてしまいました。

「な〜んだ、恋愛か。もう興味ナシ!」と思ったあなたもちょっと待って。だってこの小説は、40代以降に男女が陥るミッドライフ・クライシス(中年の危機)、離婚、親の死、友人の死、仕事のスランプ、などなど、誰もが今後避けては通れないような、人生に降りかかる災難の数々をリアルに描いているのだから。

SATCのヒロイン・キャリーは、キャンディス自身がモデルだというのはファンの間では常識。おしゃれが大好きで恋愛体質なニューヨーク社交界の華。そんな彼女はバレエダンサーのチャールズ・アスケガルドと晩婚を果たして9年間の結婚生活を送るも、セックスレスを理由に、50代に入ってから離婚。

物語は、キャンディスがアラフィフになり、夫に離婚を言い渡されるところから始まります。人生後半からまた恋愛市場に舞い戻る羽目になり茫然自失となる様に、アラフォーでバツイチとなった私は、ストーリーの冒頭からシンパシーが(笑)。

ストーリーの詳細はさておき、私がこの小説から学んだことをいくつか。

 

 

・NYのイケてる男子は全員自転車乗り
テック産業のCEOも若いイケメンも、とにかくイケてると思われるには自転車に乗ってマンハッタンを縦横無尽に行き来しなければならない。(これは、環境問題に配慮してるアピールとかそういうことなの??)だから出会いを探すなら自分もバイカーになって、サイクリングの場に出かけるべし。

・ティンダーを利用する女子=「ティンデレラ」
雑誌の編集者に、出会い系アプリ「ティンダー」で男性と出会えるかの実験記事を書くよう頼まれたキャンディスは、50代にしてティンダーデビュー。20代、30代の女性たちを集めてその実情をリサーチするのだけど、彼女たちのことをキャンディスはシンデレラならぬ、「ティンデレラ」と呼ぶ。このネーミングのセンス(笑)。

・「普通の男」をみつけるのはNYも東京も同じように難しい
ティンデレラたちは「普通の男」がいないと嘆き、ティンダーではデート場所を決めて予約してくれる男性に出会えるだけでもラッキーなことだと言う(通常はエスコートすらしてくれない)。さらには、男性側のティンダーでの出会いの目的は、セックス、しかもできればブロウジョブ(意味はググってください)のみ。男性が女性たちをスワイプして商品のように選ぶマッチングアプリは、女性をセックスの商品にしてしまったのだ(この話は私もちょうど書きたかったテーマなので、次回にでも改めて語りたいと思います)。

・アラフィフ女性が20代男性とデートすることを「カビング」と呼ぶ
ひと昔前は、年下男性を捕まえる肉食女子を「クーガー」などと呼びましたが、現在ではアラフィフ以降の女性が20代の年下男性と遊ぶことを「カビング」と言い、その対象である男性のことは「カブ」と呼ぶらしいです。勉強になる〜〜〜! ニューヨークではアラフィフ女性が急に20代男性からモテ始める現象があるとか。これは、検証が必要ですね(笑)!

・ニューヨークの恋愛市場は意外と男性上位?
意外だったのが、どうやらマンハッタンの恋愛市場では男性が優位で、女性たちは若さと性的魅力でしか選ばれないということ。その魅力が薄れればすぐに若い女性に乗り換えられてしまうため、彼女たちは常に美容整形で若さを保たなければならない。つまり結婚して安泰だと思っていても、アラフィフになってキャンディスのようにシングルに戻る女性が多いということ。何とも世知辛いけれど、これもキャリーたちがアラサーだったSATCの時代と、あまり変わっていないような。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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インスタグラムに投稿された、キャンディス近影。60代だそうですが、若い! ニューヨーカーの間ではボトックスやフィラーは当たり前だそうで、キャンディス自身もアンチエイジングのフィラーは入れているそうですが、それにしても、キャリーがアラ還になったらこんな感じかも、というような華やかなオーラの持ち主。

アラフィフバツイチ(小説の中で60歳の誕生日を迎えるので正確にはアラ還)となったキャンディスがその後、愛とセックスをみつけられたのか、というのは本を読んでのお楽しみなのですが、とにかく、アラフォー以降の女性ならば共感必至のエピソードばかり。サマンサばりに20代男性を「カビング」しまくるキャンディスの友人も出て来るので、SATCファンも充分楽しめそう。

人気作家、ジェーン・スーさんの序文も素晴らしいし、翻訳の文章も読みやすい。

最後に、小説中の一文を引用してこのコラムを終えたいと思います。

「いずれエスも気づくだろう。ほとんどの女性が気づくように。『ミドルエイジ・マッドネスから立ち直る』というのは、人生の現実にしっかり目を向け、そこから何を築いていけるのかに気づくこと」


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