宮崎駿監督は、コロナの流行を予言していた!?
 

長年の悲願だった、「ナウシカを劇場の大画面で鑑賞する」という夢が、令和の今、叶うとは。

 

新型コロナウイルスが流行りだしたとき、私は、「何だかナウシカの世界みたいだな」と思っていました。

宮崎駿監督のアニメ映画『風の谷のナウシカ』は、人間の争いのために瘴気が漂う腐海の底に沈んだ地球が舞台。マスクをしないと、人はその空気を吸っただけで肺をやられてしまう。

コロナの流行も地球環境破壊が原因という説をネットニュースで観て、「これは地球の人類に対する警告なのか。本当にリアル・ナウシカだな」、と。

そんな中、6月26日から始まった「一生に一度は、映画館でジブリを。」キャンペーン。映画館で上映されるスタジオジブリの4作品の中には、『風の谷のナウシカ』が。

これはもう、観るしかないやつ!

 


私が今までナウシカを見返せなかった理由
 

余談ですが、ジブリファンでアニメ好き、映画好きの私は、なぜか『風の谷のナウシカ』だけは、リアルタイムの小学生時代に、劇場で観たことがありませんでした。

もちろん、テレビでの放送や当時『アニメージュ』で連載されていた漫画版は読んだことがあるのですが、ジブリ作品の中でもかなり社会的メッセージが込められた作品とあって、ヒロインであるナウシカは常に怒りの表情を浮かべているし、王蟲たちの怒りで赤くなった姿を観るのも辛くて、私の中でナウシカは「ちょっと気合いを入れないと観られない大作」という立ち位置。だから、「金曜ロードショーでやっているからまた観るか」、という気軽な気持ちで見返すことが出来なかったのです。

開始1分ですでに泣く。
 

……が。
開始直後から、

「また村がひとつ死んだ」「行こう。ここもじき、腐海に沈む」。

セリフ全部覚えてた〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

と、鳥肌。

これは『カリオストロの城』でも毎回思うのですが、宮崎駿監督作品って、本当に、無駄なセリフやシーンが一個もない。すべてのセリフが考え抜いて作られたものだから、全部が印象的で名シーンで名セリフで、記憶に残る。これ、当たり前のことのように見えて、そうじゃない作品がいかに多いか。

冒頭から、ナウシカが王蟲の抜け殻をみつけて、セラミック刀で切り出す場面とか、ナウシカがメーヴェ(1人乗りのパラグライダーみたいな乗り物)で軽やかに谷を飛び回る場面とか。

名シーンの連続。そしてこれまた、おそらくちゃんと観たのは随分昔のことなのに、鮮明に覚えてる。

劇場の大きなスクリーンで観る、青くて綺麗な腐海の世界。劇場の音響で聴く、虫たちの羽音。

作画の美しさと、懐かしさと、劇場で観る『ナウシカ』の想像以上の素晴らしさに感極まったのか、開始1分後には涙が……。
 

男はみんな、ナウシカが理想の女。
 

そして今回ナウシカを観て改めて思ったこと。

ナウシカがキツネリスの「テト」と初めて会ったとき、怯えるテトに、「怖くない。怖くないよ」と指を出し、噛まれて血が流れても動じずにテトをてなづける、という有名なシーン。あれは、テト=男性に当てはめられるなあと思うのですが、傷つくのが怖い怯える男性(笑)にとって、ナウシカって理想の女性なんですよね。

「怖くない、怖くないよ」は、男の警戒心を解く、魔法の呪文みたいなもん。

・純真無垢な美少女で、

・けなげで一途で強くて自立してるのに母性豊かで、何をしても許してくれる、優しい

・ひとりでメーヴェに乗り、何でも出来るし自立している

・めっちゃキリッとした顔で戦っていたのに、生き返ったらいきなり無邪気に「うふふふふ」と天真爛漫な笑顔(←ギャップ萌え)

男が女性に求める、少女とおっかさんと聖女の理想像をまとめて具現化した女、それがナウシカ。私は今まで何人もの男性が「理想の女性はナウシカみたいな人」というのを聞いたことがあるし、ナウシカが初恋という話も聞いたことがある。多くの男性は、デリケートでナイーヴ。感情的で予測不可能な女性という生き物に距離が近づいて傷つくのが怖いから、近づきすぎると抵抗するけれど、ナウシカはそれさえも許容して、自分が傷つけられても怒らず動じない。

いや、こんな女性、実際いないから!!

そしてもうひとつ、ナウシカをモテ女にしている重要な要素は、声優の島本須美さんの声。

『やまとなでしこ』の松嶋菜々子もそうだけど、やはり「声」って大事なモテ要素のひとつだなと再認識。

そんな最強のモテ・ヒロインを生み出した宮崎駿は、やっぱりすごい人。そして1984年の初上映から36年たった今も尚、男たちを夢中にさせるナウシカ、恐ろしい子……!

そんなワケで、最後の婆様の「王蟲たちが心を開いておる……」というセリフには、「心を開いたのはナウシカを観た全男性だろ!!」と、静かに心の中でツッコミを入れておきました。

ちなみに、この作品内で最もイケメン役である、風の谷のユパ様。老人かと思っていたら実は45歳で自分よりも年下という情報を知り、衝撃を受けました……。

大画面で観るナウシカ、想像以上の劇場体験だったので、上映中何度も足を運びたいと思っています。1100円という特別料金なので、未見の方も、この機会にぜひ!
 


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