ちょうど昨年の7月、私は和歌山にいました。
多分、生涯で最初で最後であろう(笑)映画制作の現場。
当初は最初の3日間で東京へ戻るスケジュールのはずでしたが、一度も帰ることなく、ほぼ1ヶ月アシスタントプロデューサーという立場で現場に入り浸り状態。

この映画の監督である外山文治さんとは私の地元でもある熊本県菊池市をテーマに描いた映画「春なれや」の公開を拝見し、ご挨拶したことに始まりました。以前にもブログでもご紹介させていただきましたが、短編3部作は、日本の風情と抱える問題を重々しくも美しいタッチで描かれていたのが深く印象に残っています。
その3作品とともに外山監督を「ソワレ」のプロデューサー陣である豊原功補さんと小泉今日子さんにご紹介したのがそもそもの始まりでした。

もちろんその時は私が撮影現場に入るなんて想像もしないワケで・・・笑
【若い二人の切なくも儚いラブストーリー】
東京に出てフラフラしながらも役者人生を諦められない岩松翔太と、父親の虐待で追い詰められながらも日々を生き抜く山下タカラ。この物語は、その真逆を生きる二人が偶然の出逢いによって翻弄され、逃避行(かけおち)することに始まります。


若い人をテーマに恋愛を描くと、ついキラキラ感を連想してしまいそうですが、どちらかと言えばミモレ世代の方がグッとくるような切なさと重みが印象に残る純愛映画です。悲劇の中に、誰もが二人の未来を見たい・・・そんな一筋の希望のようなものを感じさせる作品です。
翔太には若手実力俳優として活躍中の村上虹郎さん、そしてタカラには100人のオーディションの中から決定した、芋生悠さんのダブル主演。
この二人の素晴らしい熱演なくしては語れない作品であり、そこに実在しているような生々しくも儚く、何度もシーンがリフレインし、今もなお目頭が熱くなる思いです。
私が見たのはまさに翔太とタカラの姿。

【舞台は歴史由緒ある和歌山】
この作品は和歌山美しい景色を背景にしたロードムービーでもあります。
若い二人の逃亡劇で切ないストーリーですが、和歌山の大自然が時には厳しく、時には優しく寄り添い、ノスタルジー溢れる街並みや、地平線しか見えない広い海、日本一とも呼ばれる夕日、そして青々とした田園風景は情緒を生み出し、この映画の重要な存在。






また、応援いただいた御坊日高プロジェクト実行委員会や和歌山の企業の皆様の情熱とこの映画にかける想いが追い風となりました。
映画はスタッフ・キャストだけで成り立つのでなく、地元の応援がなければ成り立たないもの。この映画の力でもあり、大切なエレメントの一つです。
【若いスタッフも頼もしかった現場】
現場で動くほとんどのスタッフは私と10歳〜20歳くらい離れたメンバーでしたが、この世界では私からすれば大先輩。
シーバーのスイッチの入れ方さえわからなく、大の苦手(なんて云うアシスタントPなんてこの世に存在しないと思いますが、笑)。

加えて平均睡眠時間は3時間、和歌山の燃えるような暑〜い夏、そして初めての現場で状況を掴めないおばさんとしては、怒鳴られまくられ地獄としか言いようのない日々(笑)。
現場には散々迷惑をかけてきましたが、若いスタッフの皆さんやメインキャストお二人の情熱に絆され、なんとかクランクアップまで駆け抜けることができました。

そしてこの映画を制作にするにあたり、要となった豊原功補さん、小泉今日子さんは、これまで演者という立場でスポットライトを浴びてきたお二人。ドラマの現場と映画制作に日々東京と和歌山を往復しながらでしたが、制作スタッフとともに情熱を傾ける姿がとても印象的でした。この貴重な経験を与えてくれたお二人に心から感謝です。
いよいよ「ソワレ」は今週8月28日より公開。コロナ禍で、エンターテイメントの世界も厳しい状況を強いられる昨今ですが、安全に楽しんでご覧いただけたらと願っています。
映画の公式HPはこちらから!

8.28FRI Roadshow
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