次の巣ごもりの知恵は、猛スピードで蓄積されている


そして外出自粛期間の明けた6月には、翻訳家の村井理子さんがこれからの生活について書かれていました。

私はもう結構な大人なので、大人のみなさんはそれぞれが、それぞれの対策を取っていると考えています。次の巣ごもりのための知恵は、猛スピードで蓄積されていっています。災害の多い国に住む私たちが、次の災害に向けて備蓄を絶やさないように、次の流行に向けての準備を忘れず、普通に暮らせばいい。私はそう思います。そしてその準備ができない環境にいるひとに、今回の流行で大きな痛手を負ってしまったひとに、手を差し伸べることを忘れずにいたいと思います。

ああよかったと、長い緊張状態から解放されて一息ついて、楽しいことをしたっていい。その代わり、備えは十分にする。備えることが困難な人もいるのだと忘れない。これが、私が自粛生活で学んだ最も大切なことでした。

未知のウイルスの感染拡大という危機的状況にあっても、自分を解放する自由が、糾弾されることのない社会であることを強く願っています。そして、次の波がやってきたとき、誰もが安全にその波を乗りこなすことができますように。
 
(村井理子)
 

人間は、誰とも話さず、触れ合わないで生きていくことは出来ません。楽しみのない人生だって、人生じゃない。だからこそ、ひとりひとりが正しい知識を持って対策を取り、羽根を伸ばす日があっていい……。村井さんの言葉から、これからの生活の心づもりを教えてもらった気がします。

そして最後に、共感のやまない牟田さんによる魂の咆哮を引用し、私のモヤモヤを成仏させたいと思います。

「街を歩くと『このお店、密なんじゃない』とか『マスクをしないで歩いてるなんて』とか、目に入るものをいちいちジャッジしている自分にうんざりします。そんな正義感、燃えるゴミの日に出しちまえ、と言いたい」

モヤったら、菓子パン娘たちのおしゃべりにぜひ耳を傾けてみてください!

「“人生”が頭の上に落ちてくるのがこわい」アラフォー世代がコロナで感じた恐怖_img0

『あんぱん ジャムパン クリームパン——女三人モヤモヤ日記』
著者:青山ゆみこ、牟田都子、村井理子 亜紀書房 1430円(税込)

突然、夫がいつもいる。爆発的に増える家事。進まない仕事……。エッセイスト、校正者、翻訳家と、言葉を生業とする女性3人がモヤモヤを共有したエッセイ集。


構成/小泉なつみ