② 処分するより再利用を考え残った「カッシーナの椅子」


買うことと同じくらい、捨てることにも慎重になっています。不用だと思っても一歩引いて、ほかの使い道はないかと考えるようになったのです。
自宅で使っている椅子は、イタリアのインテリアブランド、カッシーナのもの。

とてもいい椅子で、夫のレストランで使っていたものをそのまま自宅にもってきたので、もう30年近くになります。座面がかなりくたびれていたのですが、骨組みはしっかりしていますから、処分するのではなく座面を張り替えることにしました。費用は安い椅子を買うくらいかかったのですが、新しく生まれ変わったのですからいいのです。張り替えは今回で3回目になります。

インテリアは夫が主体になって選ぶことが多いのですが、これは私が娘に相談して生地の見本を取り寄せ、色は暖色系に決めました。とても気に入っています。

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もう使えないからとあっさり捨てるのではなく、どうにか使えないかと楽しんで考えてみるのです。今はそうやって、応用力をつけているので、捨てるときはもう十分、使い切ったと満足できるようになりました。
ものを大事にすることが、少しずつ上手になっています。

 


③ 引っ越しして買い換えた「リハテックのマットレス」


いまのコンパクトなマンションに引っ越すときに、本当にたくさんのものを処分しました。広さが半分以下になるのですから、ものも半分以下に減らさなくてはいけません。知らず知らずのうちにため込んでいたものたちの多くは、なくても困らないものでした。

生活に必要なものはそれほど多くはないとわかって、もっと、もっと、という物欲のようなものともうまく距離を置けるようになっています。何かが欲しいと思ってもすぐに飛びつくのではなく、本当に必要なのか、ないとどれくらい困るのかを考えるようになったのです。
だけど、買うことを我慢しようとするのではなく、自分や家族が快適になるものは、 しっかり吟味したうえで買っています。

今の家に引っ越して以来、一番大きな買い物は、ベッドです。夫と一緒に国内メーカーのものから輸入品までたくさん見てまわりました。
ベッドはやはり寝てみないとわかりません。年齢や体型、性別や筋力などでも合うものが違います。だから店舗で横になっては確かめて、自分たちに合うものをじっくり探しました。
最後に選んだのは、フランスベッドのリハテックというシリーズのマットレスです。
ブレスエアーエクストラという素材を使っていて、体重を押し返してくれるので楽に起き上がれること、通気性がいいことが決め手になりました。

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私にとってうれしかったのは、ダブルベッドではなくシングルのマットレスを2つにして、夫と私、硬さの違うマットレスにしたことです。検討していて、夫は硬め、私は柔らかめのマットレスが合うことに気がついたので、どちらかが我慢するのではなく、それぞれがそれぞれに合うものを買えて、とてもよかったと思います。
ベッドが届いた最初の日から、ぐっすりと眠れました。

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『60過ぎたらコンパクトに暮らす』
著 藤野嘉子 講談社

60歳という節目に暮らしを思い切り小さくした著者の、自分らしい日常の選び方やお金の使い方、楽しい時間の過ごし方とは。気持ちが軽くなる衣食住を軽快なエッセイと写真で紹介。いつでも自分の人生を楽しくするヒントが満載の一冊です。


文/庄山陽子
構成/片岡千晶(編集部)
この記事は2020年10月2日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

前回記事「【間取りも公開】自宅を5LDKから2LDKにコンパクトにするメリット」はこちら>>

 
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