飛行機に搭乗した際、マスクを着用しなかったことから、乗客が飛行機から降ろされるというトラブルが相次いでいます。マスクを着用することが感染拡大防止になることは科学的にほぼ立証されていますから、基本的にマスクは着用すべきだと思います。
しかしながら、航空会社はあくまでマスク着用は任意であり、強制ではないとの立場を崩していません。強制していないにもかかわらず、マスク着用の有無をきっかけに乗客の身柄を拘束し、飛行機から降ろしたということになると、これは人権侵害に該当する可能性もあります。
日本ではお願いという名目の強制があちこちで行われており、お願いと言いながら、これに従わないと制裁が科されるというケースが珍しくありません。こうした状況は、近代法の概念がしっかりしている先進諸外国から見ると、異質に映ります。公正で安全な社会を運営するためにも、ルールとそれに伴う責任や権利ついて、私たちはもっと真剣に考える必要があるでしょう。
2020年9月7日、北海道の釧路空港から関西国際空港に向かうピーチ・アビエーションの機内で、客室乗務員が男性乗客にマスク着用を求めましたが、男性が拒否したことで出発が約45分遅れるという事態が発生しました。ピーチ側は、男性が大声を出すなど威圧的な態度が続いたとして新潟空港に臨時着陸し、強制的に男性を降機させました。
男性は自身のツイッターで、「事前にマスク着用推奨や例外申請の案内のアナウンスはなかった」「(マスク着用についての)お願いを受けたが『答えはノーです』と返答した。あくまで任意のお願いが、食い下がる形で複数回行われたことは妥当な対応ではない」と述べています。
また機内での大声といった威圧的な行為についても、「近くの乗客から不適切な発言を受け、正当な手段として第三者の客室乗務員に抗議した」と主張しています(ちなみに男性乗客は警察から事情聴取されたものの、法に抵触する行為はなかったと説明を受けたと主張しています)。
このトラブルが発生した5日後、今度は北海道の奥尻島から函館に向かう北海道エアシステムの機内で同じようなトラブルが発生しました。マスク着用を求められた男性乗客が、義務ではないので健康上の理由から従いたくないと主張したところ、「安全阻害行為にあたる」として飛行機を降りるよう強制され、乗客は飛行機を降りることになりました。
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