「東京タラレバ娘」の連載が始まったのは2014年のこと。その前年に2020年のオリンピック開催地が東京に決定しました。作者の東村アキコさんは、周囲の独身女性たちが、「一人でオリンピックを見るのは嫌だ!」とざわめきはじめたのをヒントに「東京タラレバ娘」を描き始めましたが、時は流れて2017年に「東京タラレバ娘」は完結。2019年には元号が平成から令和に変わり、2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開催予定の東京オリンピックが1年延期になってしまいました。誰も予想だにしない展開となっていますが、いつの世にも人生に迷う女子は存在しています。2019年4月から「Kiss」で連載が始まった「東京タラレバ娘 シーズン2」は、ギリギリ昭和生まれの30歳女性を主人公に、令和を生きる女のリアルを描き出しています。

10月7日、女優の吉高由里子さん主演で人気を博したドラマ「東京タラレバ娘」のスペシャル版「東京タラレバ娘2020」が放送されます。3年ぶりの同ドラマでは、3人娘を演じた吉高由里子さん(倫子)、榮倉奈々(香)、大島優子(小雪)はもちろんのこと、坂口健太郎さん(倫子たちに「タラレバ女!」と言い放った金髪美青年モデルKEY)、鈴木亮平さん(かつて倫子に振られた元同僚の早坂)、田中圭さん(小雪がハマる不倫相手の丸井)、平岡祐太さん(香の元カレでミュージシャンの涼)も登場します。

 

3人娘のその後を描く『タラレバ娘 リターンズ』のあらすじと試し読みはこちら>>
 

夢が思い出せない新ヒロイン令菜。
タラレバ言ってるうちに40になっちゃう!?


累計520万部を突破し、ドラマ化もされた「東京タラレバ娘」では、恋も仕事もうまくいかない脚本家の倫子、ネイルサロンオーナーで元カレを引きずる香、親の居酒屋を手伝いつつ不倫に陥ってしまう小雪という高校時代からの親友同士(33歳)が、「ああしてい“タラ”」「こうしてい“レバ”」と女子会を繰り返している時に、金髪美青年に「このタラレバ娘が!」と一喝されるところから始まる衝撃的な物語でした。

一方、「東京タラレバ娘 シーズン2」は、タラレバ3人娘からバトンタッチした廣田令菜(30歳)が主人公です。1月7日までで終わってしまった昭和64年に東京に生まれ、短大卒業後は実家で暮らしながらいくつかのアルバイトをつないで適当に暮らしています。そんな令菜はある日、近所の図書館で司書のアルバイトを始めることに。

 

そこで出会ったのが、まごうことなき昭和生まれの昭子(40)。令菜にとっては間合いがつかみにくい相手で、「変な人」という第一印象を抱きます。

 

人間関係に深入りせずに適度な距離感を保ち、嫌になったらすぐに辞められるアルバイトという気楽な立場の令菜にとっては、大した問題ではないようです。

 

実家暮らしの令菜は、贅沢には興味がなく、時々コンビニのコーヒーやスイーツを楽しんで、家でネトフリ三昧とダラダラ過ごす毎日。彼氏はいなくても、結構幸せなのでは? と思っています。「タラレバ」言っているうちに、図書館で働く昭子のように40歳になるのかなという考えがよぎっても、どこか現実味はありません。そんな令菜のもとに、在学中に埋めたタイムカプセルを掘り起こすという小学校の同窓会の案内はがきが届きます。

 

しかし、この一枚のはがきが、令菜の心に小骨のように突き刺さります。そのせいで、司書のアルバイトもどこか上の空でしたが、仕事が終わった後、昭子に謎のボーイズバーに連れて行かれる令菜。店員はイケメン揃いなのに、名前はみんな同じ「よしお」。なぜ?

 

仕事中にぼーっとしていた令菜に気づいていた昭子は、何を悩んでいるのか? と話しかけます。令菜が語ったのは、はがきを見た時に、小さい頃の自分の夢を全く思い出せなくてショックだったということでした。

 

そこに追い打ちをかけるように、突然現れたオーナーのよしお1号に「君の夢は何ですか?」と問われる令菜。

 

気楽で楽ちんな毎日を送っていたはずの令菜ですが、「夢」は何かと突きつけられたことがきっかけで、自分と向き合うことに。とはいえ、そこは前作のパワフルな3人娘よりも下の世代だからか、テンションは若干低め。明確な夢や目標もないけど、特に大きな不満もなく、ほどほどの距離感で生きていたのが当たり前だった令菜にとって、夢とは何かを考えるのは戸惑いの連続のようです。一方で読み手の側もまた、自分にとって「夢」とは何なんだろう? とついつい考えずにはいられません。何歳まで夢を見続けていてもいいの? 夢がかなったあとの人生は? 夢があるから頑張れる? 所詮は夢? などなど……。

前作で、登場人物のみならず、読み手にも容赦なく厳しい現実を突き刺してくるタラちゃんレバちゃんも登場しますし、あのキャラクターたちもストーリーに絡んでくるかも?

8月12日には3巻が発売され、一気に読んで追いつくにはお手頃な巻数。ドラマの予習も兼ねつつ「東京タラレバ娘 シーズン2」を読みながら、「夢」について考えてみましょう!

一話無料公開をぜひチェックして!

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『東京タラレバ娘 シーズン2 (KC KISS)』

著者 東村 アキコ 講談社

廣田令菜30歳、フリーター。 夢や人生の目標もなく、彼氏も好きな人もいない日々を送っていたが、 元号が変わったとともに、夢を探して孤軍奮闘することに…‼ 令和という時代に、東京という都会で生きる 30代・40代の女性の夢とリアルを描く大人気シリーズ最新作‼