夏ドラマでは30代の婚活女性を描いた東村アキコ先生原作の『偽装不倫』が話題となっていますが、同じく30代独身女性のリアルをザクザクぶった斬った『東京タラレバ娘』も累計500万部の大ヒット作品。普段、漫画を読まない方も必読です!
『東京タラレバ娘』は、2014年、オリンピックを6年後にした東京が舞台だ。同じ高校を卒業した3人の女の子が33歳となり、ああだったら…こうなれば…と「タラレバばかり 言ってたら こんな歳になってしまった」ところから物語は始まる。恋愛こそうまくいかないものの、主人公の倫子は脚本家、親友の香はネイリストで小雪は父親の居酒屋を一緒に切り盛りをし、それぞれにやりがいのある仕事についている。
『東京タラレバ娘』の最大の魅力は、何と言っても何かと“出動”がかかっては開かれる女子飲み。おしゃれな店ではなく、手っ取り早く酔える居酒屋だからこその会話のリアルさ。
ある時、居酒屋でタラレバを繰り返していたら、ドSキャラの25歳の男性モデルKEYから「おれに言わせりゃ あんたらのソレは女子会じゃなくてただの…行き遅れの井戸端会議だろ まあいいよ そうやって一生 女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ!」「酔って転んで 男に抱えて貰うのは25歳までだろ 30代は自分で立ち上がれ もう女の子じゃないんだよ? おたくら」とTHE正論をふりかざされてしまう。
女の子と女性とおばさんの境目ってどこなんだろう。33歳の女性に女の子なんて言っては逆に失礼ではないのか、でも独身なのにまったく女の子扱いされないのも虚しいのかもしれない。そんなことを思いながらこの漫画を読み返した。私自身も34歳で結婚するまでは、ここに出てくるタラレバ娘と同じように、重すぎる仕事、うまくいかない恋愛、そして安定のない未来に、始終モヤモヤとしていた。そこから10年以上経った今、あの頃は本当に楽しかった、女子会で愚痴を言い合ったり恋バナで叱られたりしているうちが華だった! とさえ思う。『東京タラレバ娘』は、見えない何かに抗い暗中模索する30代独身女性たちの反抗期物語なのかもしれない。失ってからわかる青春ってやつだ。
印象的なのは主人公の倫子がつぶやくこの言葉。
「そう 私達が欲しいものは とっくに わかってる 口に出せば陳腐な 当たり前の言葉 簡単な言葉 残念ながらそれは多分「愛」なんです」
「タラレバ言ってたら時代が変わってしまった」という台詞で始まった新シリーズ『東京タラレバ娘 シーズン2』もスタート。こちらでも令和という新時代を生きるアラサー・アラフォーのタラレバ娘の夢とリアルが描かれています。
今年は2019年。未来を夢見た東京オリンピックまであと一年。タラレバ娘と私たちは、欲しいものを手に入れているのだろうか。
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『東京タラレバ娘(1)』(KC KISS)
著者 東村 アキコ 講談社
「タラレバばかり言ってたら こんな歳になってしまった」そんなにイケていないはずじゃないのに気づいたらアラサーになっていた倫子。6年後の東京オリンピックまでには結婚したいと思うけど…。東村アキコの女子に対する鋭い視点と笑いが炸裂する話題作。
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