がんによる死亡の35%は予防できるものだった


がんの発生も歳をとればとるほど増えることがよく知られています。がんは心臓・血管疾患と対をなす、日本人の2大死因の一つであり、防げるものがあるなら防ぎたいものです。

例えば、ある研究によると世界のがん死亡のうち、35%は予防できるものであったことが報告されています(参考3)。また、その中で原因としては以下の9つに起因していたことが報告されました。喫煙、アルコール、野菜や果物の摂取不足、肥満、運動不足、コンドームを用いない性行為、大気汚染、固形燃料の使用、医療機関での汚染された注射針の使用。これは、発展途上国も含めた統計であり、必ずしも日本に当てはまらないものも含まれます。ですが、運動不足や喫煙など生活習慣に関わるものが入っています。

ここから分かるように、がんには生活習慣病という側面もあるのです。野菜や果物を多くとり、運動習慣をつけ、体重を管理することは、心臓や血管の病気だけでなく、がんの予防にもつながっています。

また、がんは急速な治療の進歩により、治る病気になりつつあります。ただし、それは比較的早期に発見できた場合に限られることが多いのもまた事実です。しかし同時に、がんはある程度進行しないと症状が出にくいという難しさもあります。

このために、がん検診があります。がん検診は、症状がない早期のがんを発見し、治療につなげてくれるものです。

がん検診には、検査を受ければ死亡の可能性を下げることができると分かっているものと、検査をやるメリットが分かっていないものがあります。前者を選択的に行うことで、「防げるものは防ぐ」というスタンスをとることができます。

これら「防げるもの」のうち、代表的なのが大腸がん、胃がん、子宮頸がん、乳がんの4つです。また、喫煙する方には、肺がん検診も有効です。

特に若いうちから行う必要があるのは、子宮頸がん検診です。これは日本では20歳から、米国では21歳から行うことが推奨されており、日本では2年に1回、米国では3年に1回継続することが勧められています(参考4・5)。

また、乳がん検診は、40歳ないし50歳から2年に1回は受けることが勧められています。

胃がん、大腸がんについては、少なくとも50歳から、胃の内視鏡検査、大腸なら便の検査または大腸の内視鏡検査を行うことが勧められています。

詳細は各地方自治体から届けられるお知らせを参照するなどして、年齢的に該当するものをしっかりと定期的に受けているか改めてご確認いただければと思います。
 

 

加齢と骨粗しょう症


女性としてもうひとつ気になるのは、骨粗しょう症かもしれません。骨の健康の維持に、女性ホルモンが大きな役割を果たすため、閉経後に女性ホルモンの量が減ると、骨粗しょう症が起こりやすくなるのです。このため、65歳以上の女性は骨粗しょう症の検査を受けることが勧められています。

骨の健康維持には、カルシウムとビタミンDの摂取、そして運動や禁煙が重要であることが分かっています。魚介類や乳製品、大豆製品など、カルシウムを多く含む食品をバランスよくとることで、骨の老化を防ぐことができます。
 

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