マネーコラムニストの西山美紀です。
先日、日本橋にあるデパートに行ったら、地下の食品街にひときわ人が集まっている場所がありました。日本全国の銘菓売り場です。
京都の阿闍梨餅、長野の小布施堂の栗鹿の子、鎌倉のクルミッ子、長崎の福砂屋のカステラ……。
オンラインでもいろいろと買える時代ですが、お菓子のパッケージの色、形、素材の雰囲気などを直接目で見ながら、旅行や出張のときのことを思い出し、心の中だけ、ほんの少しだけ旅行気分を味わえました。
最近はGo Toトラベルも始まり、感染対策をしながら旅行をしている人の声も聞きます。でもなかなか、みんなでにぎやかに旅行には行きにくいですし、出張が大幅に減っていたりしますよね。
その土地に行って銘菓を買うことも、誰かからお土産としていただくことも滅多にない中、「こうして旅行をした気分を味わっているんだな」と、気づけば私も、宮城銘菓の萩の月を買っていました(子どもたちも喜びました!)。
2020年の春から夏。「不要不急の外出を避けましょう」といわれ、多くの人がその意識で過ごしました。私自身も「これは不要不急かな……」とつぶやいて、どうしようかと考えこんだこともありました。もちろん感染防止に大切なことではありますが、みんなが本当に我慢した時期。引き続き、今も我慢していることがたくさんあると思います。
外食や旅行、ライブ、コンサート、演劇、ダンス、スポーツ、合唱、演奏。好きな洋服をきて、メイクをして出かけること。プロやアマチュア問わず、誰かの素晴らしいパフォーマンスを自分の目や耳で味わうこと。
友だちとの飲み会やランチ、お茶。気の置けない友だちとのおしゃべり。
「不要不急」というもののなかに、「やっぱりこれは自分にとって大切だった」というものに、改めて気づかされたのではないでしょうか。
一人で過ごす方が楽しいという人もいれば、大勢でわいわいするのがやっぱり好きだという人。数人の親友と1対1で過ごす時間さえあれば、それ以外の人には特に会わなくていいかな、と感じた人。
「これにはお金をかけたい」「ここに時間をかけると幸せだとわかった」と、潜在意識にある自分の強い気持ちを再確認したと思います。
お金をかけたいもの、時間をかけたいこと、一緒に過ごしたい人。自分の本当の欲求、あなたの場合は、いかがでしたでしょうか。
コロナ前のことを振り返ってみると、どうでしょうか。
自分の本当の欲求からずれたところにお金を使ったり、時間をかけていたりしなかったかな、と自問してみるのです。
お金をどこに使いたいのか、貴重な時間を誰と過ごしたいのか。それを手帳などに書き出してみると、それ以外の自分にとっての無駄な出費や無駄な時間を、少しずつそぎ落としていけると思います。
様々な感染症を乗り越えてきた歴史から、いつものように外で楽しめる日々が、少しずつやってくるでしょう。一人ひとり違う、自分だけの本当の欲求に向き合って、かぎりあるお金と時間を上手に振り分けていきたいですね。
もし、世の中にあふれているマネー記事で、「そのお金は無駄遣いですよ」とバッサリ切り捨てられていたとしても、自分や家族にとって本当に欲しいものであれば、気にしなくてよいと思います。そのかわり、他の無駄遣いを極力減らして、自分や家族にとって、優先順位の高いものから、お金や時間を使っていきたいですよね。
そう改めて気づかされた、2020年というタイミング。
さてあなたは、どんなところに、お金と時間を使いたいと感じたでしょうか。
構成/片岡千晶(編集部)
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