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田村淳さん、オワコンと言われた私にこれからの生き方を教えてください!【青木さやか】

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青木:オワコンという言葉を使わないまでも、そうした空気を、『ロンハー』を観てきたという若い世代から感じることがよくあるんです。なのに、その人たちは「尊敬しています」みたいな感じで挨拶してくる。私も私で、そんなわけないだろうと内心思いながらも、ついニコニコしちゃうんですよね。

田村:ニコニコできるようになったんだね。前は、すぐ顔に感情が出ちゃってたけど(笑)。

青木:半分演技だとバレてませんように(笑)。ただ、傷ついているのにニコニコしてやり過ごす、そんな自分が気持ち悪くて……。淳さんは、若手からオワコンみたいな空気を出されたらどうしますか。「俺は時代を作ってきたのに」とか思いません?

田村:全然、思わない。「若いね~、いいね~!」って、ウキウキしちゃう。でも、そういう空気を出すんなら、もし壁にぶち当たっても、俺には相談しに来ないでねとは思う(笑)。

青木:まず、自ら相手を認めることが大事だと思いますか?

田村:寛容と譲歩は大事だよね。自分の意見が100%そのまま通ることなんてまずないから、どこまで自分が譲歩して、お互い納得し合えるか。寛容については、俺もまだ修行中だけど(笑)。

青木:私も、大好きな先輩に「好きにならなくても嫌うな」と、ずっと言われてきました。人を嫌うエネルギーは自分に返ってくるし、よくない方向に導いてしまうから、と。本当にその通りだと思います。

 


自分ではない、誰かのため。
“他人軸”では心が疲弊してしまう。


青木:淳さんは、第一線にずっといて、ずっと自分軸で生きてらっしゃいますよね。一方、テレビにたくさん出ていた頃の私は「自分が頑張れば、番組が大きくなる。そうすれば、スタッフさんや会社のためになる」という気持ちが強かったんです。自分のためではなく、誰かのためだから頑張れた部分もあったけど、無理が重なって、疲弊して……。結局のところ誰にも頼まれていないという、勝手に人のために頑張る青木さやかがいた。そうなってしまったのは、やっぱり他人軸で生きてきたからなんだと思います。

 

田村:青木さんって、いろんなものを背負っちゃうんだよね。生き方が不器用なんだろうな。

青木:はい、不器用だと思います私。でも昔、なんで私にドッキリかけるんですかって聞いたら、「不器用だから」って仰ったのは、淳さんでしたよ(笑)。淳さんって全然不器用じゃない。

田村:そうそう。青木は、まっすぐで責任感が強い人なんだよ。だから苦しむんだろうね。「格付けする女たち」では、キャラの濃い人たちの中で、先輩たちに噛みつく役を背負わせていたのかな。

青木:今や、皆さんが同志のように感じます。飯島愛さんとか、「収録終わらないから、早く噛みついてよ」みたいな空気で(笑)。

田村:そうだった(笑)。下の子から、下手くそな噛みつかれ方をされたりもして。たまに鋭い刀を持っている人もいるんだけど、だいたい凸凹な、斬られたら痛そうな刃で向かってくる(笑)。

青木:傷つく日々でした(笑)。私も、きっと多くの方を傷つけていました。「格付けしあう女たち」の中で今でも覚えているのが“子役が選ぶ演技がやりづらい女優”みたいなテーマで、「演技が下手だ」って言われて。泣きながら「もう喋らない!」と意固地になってしまったことがありました。というのも当時、ドラマに主演で出演してたんです。その日も収録の前はドラマの現場で、監督さんが出したOKに対して、技術さんが「今のでOKなのかよ」と。そしたら監督が「これ以上、上手くなんねぇからいいんだよ!」と言い出して、全体的に「嫌だよな、人気があるだけで主演のやつの現場は」みたいな……。私だって、分かってるんです。自分の実力。別に主役をやりたいわけじゃないのに!

田村:そう言った?

青木:言いませんでした。でも、本当はすごく辛くて……。

田村:俺は言ったんだよ。人気が出始めて主演ドラマをやった時に、それこそ今の話と同じになって「これ以上は無理なんで、降板させてください」って。もちろん、いいものを作るためにはスタッフと一丸となるけど、彼らの生活を背負う気はまったくない。だから、人として扱ってもらえないなら、やめるって。そういう気持ちは、昔から自分の中にあったな。