テレビに出るような顔じゃないのかなと悩んだ
『ロングバケーション』は最高視聴率36.7%を記録。より多くの人の目にふれる場に出たことで、今まで受け取ったことのないような厳しい言葉を浴びる機会も増えました。
「モデルは服を表現する仕事。顔なんて人それぞれだから気にしたことなかったんですけど、テレビに出るようになって知らない人から『ブス』と言われたり。そういういろんな意見がわーっと自分の目や耳に入ることに、ちょっとびっくりしてしまって。私はテレビに出るような顔じゃないのかなとか、恋愛ドラマに向かないのかなと悩んだりもしました」
役者は、役になりきるのが仕事。だから、顔なんて役柄に合ってさえいれば何でもいいと思っていた。けれど、心のない声の数々に、りょうさんは自分自身の顔をコンプレックスに感じるようになりました。
「役柄的にも、他の方が避けるような嫌われ役が続いて。私はこれはあくまでお芝居で、自分自身とは別だと切り分けていたんですけれど、やっぱりテレビをご覧になる方の中には私自身をそういう冷たい人だとか怖い人だと思う方もいらっしゃって。街を歩いていると変な目で見られたり。そういうことが、ちょっと嫌になった時期もありました」
コンプレックスだった顔が、武器になった
スターダムを華やかに駆け上がる裏側で、人知れずコンプレックスを抱えていたりょうさん。転機となったのは、1999年に出演した映画『双生児』でした。原作は、江戸川乱歩。乱歩らしいディープな怪奇サスペンスで、眉を剃り落としたりょうさんのビジュアルは圧倒的なインパクトを放っていました。
「そのときに塚本晋也監督から『その顔があればいい』と言っていただいたんです。そう言われて、やっとこの顔でもできるものがあるんだ、他の方には出せないものがあるんだと気づけたというか。お芝居には、技術がどうこうじゃないところがある。嫌いだったこの顔が、お芝居をやっていく上で武器になるんだと思えたとき、何か未来が開けた気がしました」
気づけば俳優デビューから四半世紀を経て、今なおりょうさんは第一線で活躍し続けています。
「テレビドラマではわりとクールな役が多かったんですけど、30を過ぎた頃から、映画や舞台などテレビドラマじゃない場所で、私のイメージにはない役をいただけたり、面白い冒険をしてくださる演出家の方と出会う機会も増えてきて。少しずつコミカルな役もできるようになり、私のイメージも広がっていったのかなと思います。そしたら不思議なものでまたクールな役とかヒールの役もやりたいって思うようになるんですよね。むしろ久々にクールな役をいただくと、難しいって思うぐらい(笑)」
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