大切なのは、どんなことでも楽しむ気持ち
そんなりょうさんの新しい挑戦の場となるのが、舞台『両国花錦闘士』。りょうさんは、主人公である美形力士・昇龍(原嘉孝)を誘惑する大手芸能事務所の女社長・渡部桜子を演じます。
「桜子は、こんな人本当にいるのかと思うぐらい、自分の想いにまっすぐで、誰が何と言おうと自分の思い通りにする、とってもパワフルでクレイジーな女性。今まで数多くの男性をほしいままにしてきた桜子が、初めて会ったタイプの男性が昇龍。これまでまったく見向きもしなかった力士という世界、しかも自分が見てきた男性たちとはまったくタイプの違う昇龍に興味を持った桜子は、何としてでも彼を落とそうとするんです」
自分と桜子の共通点は今のところまったくないそう。だからこそ、稽古に入るのが今から楽しみだと、りょうさんは待ち切れないような表情を浮かべます。
「コロナの影響でお仕事がまったくできない期間が続いて、改めて私はお芝居が好きなんだと実感しました。自粛期間中にこれから私はどんな仕事がしたいだろうと考えたときに、こんなときだからこそみんなに笑ってもらえる作品に出たいなと思ったんです。この『両国花錦闘士』は今の私にぴったりの作品。桜子という女性を誰よりもパワフルに、クールに演じたいと思います」
そう声を弾ませるりょうさんに、20代の頃に抱えていたコンプレックスは見る影もありません。自分の人生を幸せだと思いますか。そう尋ねると、りょうさんは迷うことなく「はい」と答えました。
「私はいつもその瞬間をどうしたら楽しく過ごせるかを考えるようにしているんです。たとえば、家の近くに保育園があるんですけど、子どもたちの声がうるさいと近所の方からクレームが入るそうなんですね。でも、私はお休みの日におうちにいて、子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくると、それだけで幸せだなと思える。何でも楽しめるのは、それだけ自分が恵まれている証拠。そうやって今の生活を豊かだと思える気持ちが、自分を幸せにしてくれているのかもしれません」
コロナ禍によって大きなダメージを受けたエンタメ業界。依然先行きの見えない状況が続きますが、りょうさんは楽しむ気持ちを胸に前へ進んでいきます。
「この状況がいつまで続くかわからないからこそ、今こうしてお仕事をさせていただけることに感謝して、その場その場を精一杯楽しんでいきたいです。私がお芝居をしているのは、自分はもちろん、みなさんに楽しんでもらいたいから。みなさんに少しでも笑っていただけるように、できることを頑張ります」
“クールビューティー”のイメージとは違う、屈託がなくて柔らかな素顔を見せてくれたりょうさん。だけど、それでも変わらないことがひとつあります。それは、そうやって軽やかに生きる背中が私たちの憧れであること。これからも私たちの憧れのアイコンとして、りょうさんは輝き続けるのです。
りょう Ryo
1973年1月17日生まれ。埼玉県出身。10代からモデルとして活躍し、1996年、ドラマ『ロングバケーション』で俳優デビュー。1999年、映画『双生児』で高崎映画祭主演女優賞を受賞する。以降、数多くのドラマ、映画、舞台などで活躍。近作にドラマ『DIVER-特殊潜入班-』、映画『フードラック!食運』(公開中)、舞台『偽義経冥界歌』などがある。
舞台『両国花錦闘士』
原作:岡野玲子(小学館クリエイティブ「両国花錦闘士」)
作・演出:青木豪
主題歌:デーモン閣下
出演:原嘉孝(ジャニーズJr.)/大鶴佐助 大原櫻子/紺野美沙子 りょう 他
東京公演:2020年12月5日(土)〜12月23日(水)@明治座
大阪公演:2021年1月5日(火)〜1月13日(水)@新歌舞伎座
福岡公演:2021年1月17日(日)〜1月28日(木)@博多座
(c)2020『両国花錦闘士』
スタイリング/仙波レナ
ヘアメイク/富沢ノボル(CUBE)
取材・文/横川良明
構成/山崎 恵
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