米倉涼子さんが見た、最新のおすすめエンタメ情報をお届けします。
12月10日から開催される『フランス映画祭2020 横浜』のフェスティバル・ミューズを務めさせていただいています。
みなさんはフランス映画と聞くと、どんな作品をイメージしますか? 私自身はリュック・ベッソン監督作が好きなこともあり、強い女性像が描かれている作品が多いという印象を持っています。
この機会にたくさんのフランス映画を観られたら、と上映作品のラインナップを見てみると、フランス映画にはとても幅広いジャンルの作品が揃っているんですね。
今回は上映作品のなかから、ドキュメンタリー映画『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』をひと足お先に観てきました。
主人公のプリシラ・ステナイは52人ものひ孫に恵まれて、ケニアの小さな村で助産師として働いてきた女性。おばあちゃんを意味する“ゴゴ”と呼ばれている彼女は、ひ孫の女の子たちが自分の幼いころと同じく学校に通っていないことを知り、一緒に小学校に入学します。
この映画、本当に素晴らしかった!
世界には教育を受けることが難しい場所があるという厳しい現実を伝えてくれる作品なのですが、ゴゴの存在に希望があふれているんですよね。
暮らしは豊かではないけれど、心は決して貧しくはない。子供たちと同じ制服に身を包んだ彼女が授業を受けている姿を見ながら、思わずゴゴと一緒に単語の練習を口ずさんでいたり、自分は環境に甘えて生きてきたんだな、と反省しました。
腰の位置が高くて足が長い、背筋がしゃんとしているゴゴのスタイルのよさにも感動。いつまでも好奇心を持って学ぶ気持ちやチャレンジ精神を忘れない、こんなおばあちゃんになりたい!
最近、心がぎゅーっとするような撮影が続いていたので、ゴゴのおかげで気持ちが明るく、楽になりました。
米倉さん写真:©︎unifrance films
今年のフランス映画祭が開催される横浜は、私の故郷。フェスティバル・ミューズを務めることになり久々に遊びに行ってきました。
中華街では定番の豚まんや、『ぴったんこカン・カン』のロケをしたふわふわのパンケーキを楽しみ、山下公園やみなとみらいを散歩して、充実した一日に。
学生時代はバレエのレッスンで東京に通うことが多くてなかなか地元で遊ぶ時間がありませんでしたが、繰り出すならやっぱり横浜ですね。
映画祭をきっかけに地元愛が復活しています(笑)。林文子横浜市長は文化や芸術にとても愛情のある方なので、これからの発展もとても楽しみ。
まずは今年のフランス映画祭で上映されるカトリーヌ・ドヌーブやイザベル・ユペールなど、大女優たちの作品を観たいと思っています。ミモレの読者のみなさんもぜひチェックしてみてくださいね。
『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』
植民地時代の1923年に生まれたプリシラ・ステナイは、当時、他の少女たちと同様に学校に行くことを禁止され、若くして結婚。祖母の仕事を引き継いて助産師となった。亡くなった夫との間に3人の子供を授かり、52人のひ孫に恵まれたが、2014年、学齢期のひ孫娘たちが不就学だと知ったことをきっかけに、自身も聖書や憲法を読むため小学校に入学することを決意する。当初は高齢すぎるため入学を拒まれるも、「自分が見本となることで、娘を学校に行かせない他の親たちを説得できるだろう」と、粘り強く校長に交渉。90歳にして6人のひ孫娘たちと共に小学校に入学した。勉強するのは一苦労だが、助産師として自分が取り上げた教師やクラスメートたちに応援されながら勉強を続け、ついに念願の卒業試験に!ゴゴは映画というものを知らなかったが、監督の熱心な説得を受け「世界中に教育の大切さを伝えられるなら」と撮影を許可した。
『フランス映画祭2020 横浜』
■会期: 12月10日(木)~13日(日)
■会場:横浜みなとみらい21地区、イオンシネマみなとみらいほか
■公式HP:https://www.unifrance.jp/festival/2020/
■ハローダイヤル:050-5541-8600(全日8:00~22:00 )
構成/片岡千晶(編集部)
前回記事「【米倉涼子】話題映画にみる誠実さだけではトップにはなれない政治の世界」ファッションショーの舞台裏」はこちら>>
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