この、行き先の見えない懇々とした毎日がまだ続いています。
今朝のニュースでは、イギリスで10万人がコロナウイルスに感染し亡くなったということです。
ヨーロッパのロックダウンは、もう少しで1年になります。
人々のフラストレーションが高まっていて、オランダのロックダウンに反対するデモストレーションは過激化、もう3日目に突入しています。

こんな中で憂鬱にならず、平穏に毎日を過ごすのは簡単ではありません。

家には在宅勤務の夫、学校閉鎖のため自宅で勉強している子供たち……一つの家に常にたくさんの人がいる生活。
一方で、一人暮らし、在宅勤務、ロックダウンで人と話す機会もない毎日の人もいます。
色々な生活様式の中で、日々のフラストレーションはみんな最高潮に達しているはずです。

外に出て、新鮮な空気を吸うのが一番ですが、都会ではその空気を吸うのも危険かもしれません。私の住んでいるポルトガルでは公共の公園なども今は閉鎖されています。

そんな中、一人でも黙々とできる単純な作業が、私を含めて周りの人たちの間で盛んです。

まず私の夫は、包丁研ぎです。
YouTubeで色々な研ぎ方を研究して、砥石をAmazonで購入。タイマーで時間を計りながらコレクションの包丁を研いでは、トマトでその切り口を確認して、その時間を満喫しています。

黙々と包丁を研ぐ夫のヤン

私は庭の木の剪定です。
次々に木の枝を切り、その枝を集めて暖炉で燃えやすいようにさらに細く切って行きます。
そして夕方には、その木や自分で切ったクリスマスツリーの枝を使って、暖炉に火をつけるのです。

私が剪定した木
暖炉用に細かくした枝

イタリアに住む友達は本棚の整理。
まずすべての本を棚から出して床に置きます。本棚を移動させて床と壁を掃除、次に本棚自体をきれいにします。最後に本の埃を一冊ずつはらってから、きれいに棚に並べ替えていくのです。

 

体を動かす単純作業の他にやっていることは、頭を空っぽにするということ。

瞑想が一番いいかと思いますが、私のように座ってじっとしていることが苦痛な人間にとっては3分間が精一杯です。

普段は観ないようなTVドラマのシリーズを一気に観る、というのは皆さんほぼ毎日やっていることでしょう。

私にとって、先週のアメリカの大統領就任式の鑑賞もその一つでした。

人間が持つ本来の正義、公明、公平への誓い。そしてそれを一緒になってやっていこうとする群衆。レディー・ガガによる国歌の独唱、若き詩人・アマンダの「私たちが登る丘」という詩の朗読。

写真:代表撮影/ロイター/アフロ

夜の特別番組で新しい大統領は、「私は息子であるボーの大統領就任式を祝うつもりだった」と語り、その亡くなった息子の名前をもらった幼い孫を抱いてダンスを。

写真:Presidential Inaugural Committee/ロイター/アフロ

最後はケイティ・ペリーがナショナル・モールに登場し、ワシントン記念塔の上空に打ち上げられた素晴らしく壮大な花火の中で、ヒット曲『ファイヤーワーク』を歌う姿。


これこそアメリカが得意とする「単純さ」の最高級の演出です。


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