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今年20歳になる愛子さまのご公務と女性天皇への可能性は?【皇室記者が解説】

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愛子さまが天皇を受け継ぐ日は来るのか?

2020年1月25日、両陛下とともに13年ぶりに大相撲を観戦される愛子さま。写真/JMPA/新潮社

皇室典範では、父方が天皇の血を引く男系の男子が皇位を継承する、と定められています。とはいえ、愛子さまを天皇に、という国民の声も聞こえてきます。

 

「そうですね、そういう声も起きるかもしれません。小泉純一郎内閣の時に有識者会議を発足させて、安定的な皇位継承のためにどうしたらいいかと議論し、その結果、女性・女系天皇容認の答申が出たこともありました」

その後皇室制度改定への動きもありましたが、実現には至っていません。

「これからの時代、皇室はどうあるべきか、ということを考えなければならないでしょう。これは最終的には、国民が決めること。
各種世論調査では皇室の支持率は9割近くあって、多くの国民に受け入れられている存在であることに変わりはありません。
それだけに今後の皇室を安定的に存続する方策を考える必要があるでしょう」

では、これから皇室はどのように歩まれていくのでしょうか。

「それは国民一人一人がどうしたいか、どう考えるかが問われているのであって、けっして皇室任せ、政治家任せにしていい話ではないだろうと思います。

成人になった愛子さまはもちろん、やがて悠仁さまも成人になってご公務を担われるでしょう。そういった活動を拝見しながら、最終的に『国のかたち』の基本である皇室のあり方を国民一人一人が考える、そういう時期に来ているんだろうと思います」

もう一つ注目されるのは、愛子さまのファッションです。これまでの公式の場でのご服装は、学校の制服姿がほとんどでしたが、これからは様々な装いをされると思います。どんなロイヤルファッションを見せてくれるのか楽しみです。

ボルドー×ホワイトの清楚なワンピースでチャリティー試写会へ。写真/JMPA/光文社

ちなみに、成年皇族になるにあたって、愛子さまは何かご準備をされているのでしょうか。

「愛子さまは英会話も含めて英語がかなり得意でいらっしゃるんです。スペイン語も勉強されています。
でも、大学に進むときに選んだのは日本文学科で、私には意外でした。
愛子さまはご自身が皇室の人間であるということを非常に自覚されていて、皇室の歴史・文化などをかなり深く学んでいらっしゃるといいます。
だからこそ日本文学科を選ばれたのかな、と思うし、ご自身のアイデンティティーをきちんと確認したい、知りたいという思いがあるのではないでしょうか」

英語に限らず、表現力が豊かといわれています。

「学習院中等科の時、広島平和記念資料館などに行った際の感想文は、『これが中学生が書いた文章なのか』と思うほど完成度の高いものでした。
そういった表現力もさることながら、ご両親のご活動を身近にご覧になっており、社会的な問題にもグローバルな視点を持っている、という点でも今後のご活動が注目されます。
20歳になって、成人として本格的にご公務をされることを、大変楽しみにしています」


大久保和夫(おおくぼ・かずお)
毎日新聞客員編集委員。宮内庁を中心に、皇宮警察をはじめとする皇室関連の取材を続けている。皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、70歳を過ぎても現役記者として活動している。

●聞き手
高木香織(たかぎ・かおり)

出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に、『愛のダイアナ』( 講談社)、『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』( ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』(講談社)、 カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、 『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

 

本文、キャプションは過去の資料をあたり、
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その当時のものを使用しています。
取材・文/高木香織
構成/片岡千晶(編集部)

前回記事「眞子さまのご結婚の行方を皇室記者が解説「結婚を前提にした環境整備へ」」はこちら>>

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