「鬼滅の刃」韓国でも大ヒットの裏にあった“ゾンビ系”ブームと配慮_img0
韓国版『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のポスター/(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable(メガボックスウェブサイトより)


厳しい日韓関係の中、韓国向け対応があった!?

日韓関係が厳しい状況になってきた2019年以降、韓国国内では日本への不買運動とともに、今まで人気を集めていた日本のアニメーションにも悪影響が出ました。ドラえもんやクレヨンしんちゃん、ポケットモンスターなど、冬休み期間中に最も人気を集めていた日本のアニメーション劇場版ですら興行成績が良くないことが多く、また韓国でも熱いファンを持つ新海誠監督の『天気の子』(2019)も、前作の『君の名は。』(2017)と比べると期待に及ばない結果となりました。

このような状況が続く中、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』も、韓国で「不買運動」を進めようとする動きがありました。

映画公開前のことですが、「炭治郎の耳飾りが旭日旗に似ている」というところから騒ぎになったのがその原因です。その後、旭日旗は韓国人の感情を敏感にさせる可能性が高いということで、韓国で公開する『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、炭治郎の耳飾りのデザインが変更されました。

赤い太陽から下に線が伸びていたデザインが、太陽の下に横線をいれるデザインとなり、旭日旗のイメージから離れるように工夫されたのです。このような韓国向けの対応で「作品を純粋に見てほしい」という制作側のメッセージが観客にも伝わったのではないかと思います。

 

韓国でヒットした日本のアニメーションTOP10


ところで、今まで韓国で人気を集めた日本のアニメーション映画はどんな作品があったのでしょうか。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が韓国でさらなる大ヒットを果たすことができるのかを考察する際に、今までどんな作品が韓国で人気を集めてきたのかを振り返ってみたいと思います。

ご存知の方もいると思いますが、韓国では日本大衆文化の流入制限がありました。1998年以降、これが「解放」されはじめました。漫画や映画と比べるとアニメーションの開放は少し時間がかかりました。

2000年6月から国際映画祭で受賞した日本の劇場用アニメのみが開放され、全面解禁となったのは2004年1月からです。つまり、日本のアニメーション作品を映画館で見ることができるようになったのは、この20年間ほどの話なのです。

 
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