男の子を育てるのは大変──よく耳にする言葉ですが、男の子を授かった親は腹をくくってその「大変さ」を受け容れるしかないのでしょうか?

3人の男の子の母親であり、子育てに関するセラピスト&コーチとしても活躍されているたかもりくみこさんは、著書『男の子を大きく伸ばす方法 ダメにしない秘訣』で、世間一般で言われる「大変さ」を細かく分析し、親の心の負担を減らしながら男の子の才能を伸ばす子育て法について言及しています。実際、たかもりさん自身も3番目の男の子を育てる際に大きな挫折を味わい、苦悶の日々を過ごしたという経験を持つだけに、その言葉一つひとつに説得力がありました。

目からうろこの子育て法が満載の同書ですが、今回は男の子に対する親の「怒り」や「イライラ」について書かれた部分を抜粋してご紹介します。

 

男性社会は競争社会。そこで生き抜くためには、送り込む前から比較競争の中、勝ち抜いていかないといけない。そのためには強いメンタルと、何か強い個性や特技が必要。そう思っても不思議ではないかもしれません。そのために、小さな時から叱咤激励し、とにかく前へとにかくたくさん。とにかく少しでも早く。負け組に入らないように。転落しないように。ダメにしないように。
 
本当に過酷な中、私たち母親は愛する息子を必死で育てているのが現状なのだと改めて思います。誰もが肩に力が入ってもおかしくありません。けれども、親が子どものためによかれと思う行動が子どもの本質を尊重し、本当に才能を伸ばすことになっているのでしょうか。

 


「子どもに振り回される」は誰もが通る道


子どものやることは本当に想定外のことばかり。こちらの状況はまったく無視。「今、ここで?」というところで、ギャン泣きし、地団駄を踏んで怒り出す。

子どもに振り回され、仕事も家事も思うように進まず、冷たい目で子どもを突き放す。

イライラが溜まり、子どもの何気ないたった一言にヒートアップし、「いい加減にしなさい!」と、とうとう爆発する。爆発した後の虚無感、罪悪感がわき上がる。自分ほど鬼のようで冷たい母親はいないのではないか、子どもの寝顔を見ながら心底後悔して謝る。

それでも次の日の朝、ぼーっとしながら「ママ~おはよう!」と笑顔で無邪気に起きてくる子どもの姿を見てさらに胸が痛む。今日からは絶対怒らないと固く誓う。けれどもまた地雷を踏まれ、同じことを繰り返す。

私のこと? とドキッとした方も安心してください。子育てで誰もが経験している日常です。子どもほど、親の怒りの地雷を踏む天才はいません。