ランチ代は10円、20円でも安く済まそうと躍起になるくせに、好きなアーティストが全国ツアーを開催しようものなら遠方の地方公演にも足しげく通い、公式グッズを片っ端から買い漁る──オタク気質を持ち合わせていない筆者は、熱狂的ファンである友人の消費行動があまりにも不可解で、どこか冷めた目で見ていました。「そんだけ大枚はたくんなら、マンションでも買った方が良くね?」と。
そんな長年のモヤモヤに答えてくれたのが、mi-molletのコラム「推しが好きだと叫びたい」でおなじみのライター・横川良明さんが上梓した『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』です。
イケメン俳優という「推し」を得たことでオタク心に火が付き、人生が激変したという横川さんが、同書の中でオタクの金銭感覚について冷静かつユーモラスに語ってくれています。
オタクになると「消費」がエンタメ化する
以前は週5で飲みに行くのが当たり前みたいなライフでして。それはそれで楽しかったのですが、ぱたっと食と酒にお金を使わなくなった。食は500円の丼丸で満足だし、お酒は近所で98円で売ってる氷結でじゅうぶん。
それに引き換え、ぐんっと増えたのがチケット代やらグッズ代です。推し活には消費がつきもの。というか、オタクの界隈では消費を美徳としているフシがあります。ある種、お金を使うことをエンタメ化していると言ってもいいでしょう。
おかねつかうのたのしい。すべて平仮名にすることで深刻さを薄める。ええ、僕もよくやる手口です。
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