家庭内暴力の証拠を押さえるのは至難の技


婚姻中に夫に無視されたり暴言を吐かれたり怒鳴られたり、乱暴な態度で不機嫌に当たり散らされたり、理不尽な用事を言いつけられたり、無理やり性行為に応じさせられたり、避妊してもらえず子供を次々産まされたり。家事育児は全て妻に押し付け、しかし仕事は共働き。文字に起こすと非道だけれど、これは一般家庭の中で昨日も今日も明日も、日常的に起きていることです。

浮気と暴力を除いたのは、これが一応裁判所の認める離婚事由になっているからですが、浮気はともかく、家庭内暴力の証拠を押さえるのは本当に至難の技で、大変に難しいのでほとんどの人はできる限り我慢するしかありません。

これを普通=多数派、つまり社会が異常と認識していないので、多くのDV被害者は被害を自覚できないばかりか、耐えられない自分を責めるしかなく「これくらいみんな我慢しているのに、それができない私は根性なしだ」と心身を病んでいってしまいます。

離婚後6年経ってもDV後遺症。被害者がスマホゲームとTwitterで立ち直るまで_img0
 

しかし、加害者の言動がエスカレートするに従い、限界は必ず訪れます。精神的に限界を迎えるその時にはもう正常な判断はできなくなっており、それまで一人、根性で回していた家庭と家計は破綻。どうしようもなく追い詰められて家から出奔するしかなくなって、そしてやっと「離婚」という選択肢にたどりつく。

 

ところが、その離婚が簡単にはできません。どんなに非道な相手でも、相手の合意が得られなければ離婚ができず、まずは調停から始めるしかありません。離婚に応じない人は親権でも養育費でもごねるのが常なので、話がどんどん拗れていき、そうすると弁護士を雇う必要が出てきます。

しかし、ろくに喋れないような精神状態の中で被害者は弁護士にまともに相談することさえ困難です。そもそもお金に困っている人がほとんどで、弁護士費用の捻出も問題になります。シングルマザーの半数は相対的貧困家庭ということからもその金銭難は理解していただけるはず。