つらい話をするときに明るく笑ってしまう


「この話ができるようになるまで10年かかりました。息子もそろそろ成人です。近くに住む私の親族がなんとか育ててくれたんだろうなと思うと感謝しかありません」

そう話を締めくくったAさんは明るく元気な声で私に笑いかけてくれました。つらい話をするときに明るく元気に笑ってしまうのはDV被害者に多い特徴です。

だからこそ、彼女たちの話を聞くとき、私もできるだけ明るく振る舞います。フラッシュバックを少しでも軽くして欲しいから。けれどテンション高く面白おかしく怖い話をしてくれたその後、彼女たちが精神的に調子を崩ししばらく寝込んでしまうことを私は知っています。

DV夫に「育児放棄妻」に仕立て上げられ、息子に二度と会えなくなった話_img0
 

それでも詳細に話を聞いて書かないわけにはいかない。そして彼女たちも話さないわけにはいかない。なぜなら声を上げないと誰にもこの理不尽な現状が伝わらず、被害者がどんどん増えてしまうから。

 

一度被害を受けたら、一生その体験から逃れることはできません。

その上、家庭内のDVを取り締る法律も被害者をケアする制度もないばかりか、法律は被害者を追い詰める内容のものばかり。

もしかしたらAさんが協議離婚であることに違和感を感じた読者の方もいるかもしれません。裁判所に申し立てていたら結果は変わっていたのでは? 法律が被害者を追い詰めていると断定していいのか? と。

では、わずか2年の結婚生活にも関わらず、モラハラでボロボロになり裁判所でさらに追い討ちをかけられたBさんのケースをご紹介しましょう。

ビジネスでもプライベートでもパートナーシップを組んでいたBさんカップル。仕事終わりに待ち合わせして一緒に飲みに行くのが定番のデートで毎回楽しく過ごしていたといいます。

そんなときBさんの子宮に病気が見つかり、このままでは子供が産めなくなるかもしれないと医師に告げられてしまいました。それを彼に伝えたその直後、奇跡的なタイミングでのおめでた。彼も妊娠をとても喜んでくれ、当たり前のように2人は結婚しました。授かり婚だったため、妊娠後の入籍、引っ越し。バタバタするのはしょうがないとは覚悟はしていたBさんですが、実際に起こったのはとてもそんな覚悟では足りない、あまりにも過酷な現実でした。

(次回につづく)
 

前回記事「酒乱夫からの経済DVで孤立無援になった彼女が主婦売春に手を出すまで」はこちら>>

 
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