映画で描かれなかった「時間」が想像できる
「猫に名前をつけるのは最も尊いことのひとつだ」というセリフからはじまった、ふたりと一匹の日々。ベランダでお昼寝している麦と絹にじゃれつき、冷蔵庫のそばのスツールに気ままに座り、しっぽを床にすりすりしながら窓の外を眺め、冬にはストーブのそばでじっとしているーー。
ベランダでひなたぼっこしている麦と絹につきあって気持ちよさそうに太陽の光を浴びているシーンでは、脱走しないかとハラハラしてしまいましたが、そんな心配をよそにバロンはいつも麦と絹のそばにさりげなく寄り添い続けています。
恋のはじまりに心浮き立って心拍数が重なっているときも、気持ちの温度が違ってきてしまったときも。
お芝居をしすぎない自然なたたずまいの黒猫が最高に愛らしくて、劇中には描かれていない時間の中で、交わす言葉が少なくなったふたりがバロンをはさんで笑いあった日もあったかもしれないなぁ、と想像してしまいました。
花束みたいな恋の記憶のなかで、猫がいるありふれた日常はきっとふたりの心にあたたかい感触を残しているはずです。
【我が家の猫の写真】
<映画紹介>
『花束みたいな恋をした』
TOHOシネマズ日比谷ほか、全国公開中
監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
出演:菅田将暉 有村架純/清原果耶 細田佳央太/韓英恵 中崎敏 小久保寿人 瀧内公美/森優作 古川 琴音 篠原悠伸 八木アリサ/押井守 Awesome City Club PORIN/佐藤寛太 岡部たかし/オダギリ ジョー/戸田恵子 岩松了 小林薫
配給:東京テアトル、リトルモア
©『花束みたいな恋をした』製作委員会
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