双子の寿命はほぼ一緒なのか?
その答えのヒントになる、興味深い研究があります。デンマークで行われた双子の研究です。
デンマークの研究者たちは、長生きにどのぐらい遺伝子の情報が影響するかを調べるために、一卵性双生児や二卵性双生児で、寿命がどのぐらい近いものになるかを検討しました(参考文献1)。
一卵性双生児は、一つの卵子に一つの精子が受精したあと、その受精卵が2つにわかれて生まれた双子です。一方で、二卵性双生児は、二つの卵子にそれぞれ別の精子が受精して生まれた双子です。この違いから、前者ではほぼ100%同じ遺伝情報を持った双子が生まれますが、後者では、平均的に50%ほどしか遺伝情報は共通しません。
つまり、もし遺伝情報で寿命が決まるのであれば、二卵性双生児の互いの寿命よりも一卵性双生児の互いの寿命の方がより似通ったものになると仮説を立てることができます。
高齢になるほど、遺伝子は寿命に影響してくる
この研究によれば、60歳未満の時点では、寿命はほとんど遺伝子の影響を受けませんでしたが、寿命が60歳を超えると、一卵性双生児の互いの寿命がより近づいていく様子が観察されました。双子の一方の寿命が1歳伸びるごとに、二卵性双生児ではもう一方の寿命が平均0.21歳ほどのびていましたが、一卵性双生児では、平均0.39歳のびていることがわかりました。また、年齢が90歳や100歳に近づくと、遺伝子の影響がより色濃く出て双子の寿命がさらに近づいていくこともわかりました。
このことから、遺伝情報は寿命に影響を及ぼしていると考えることができます。実際、寿命を規定するもののうち、25%ほどが両親からもらった遺伝情報に左右されると試算されました。
25%が遺伝情報によって規定されるとしたら、その部分は自分の力では変えられないものの、逆に言えば、残りの75%については自分の手で変えられる可能性があるとも言えます。だからこそ、「どのように生きるか」は将来の自分にとってとても大切と言えそうです。
参考文献
1 Hjelmborg JB, Iachine I, Skytthe A, et al. Genetic influence on human lifespan and longevity. Hum Genet 2006. DOI:10.1007/s00439-006-0144-y.
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