90年代、安室奈美恵さんに憧れる若い女性“アムラー”が街に溢れました。ミニスカートに、厚底ブーツを合わせ、茶髪のロングヘアに日焼けした肌。テレビでタレントさんが、「安室ちゃんに憧れて細眉にしてた!」と言っている姿をよく見ることがあります。
しかし、近年はSNSが流行したことにより、安室さんのようにみんながこぞって憧れる“カリスマ”が生まれにくくなりました。女の子たちの憧れは、今やテレビのなかの存在だけではない。インフルエンサーやYouTuberなど多岐に渡り、“カリスマ”が分散しつつあります。そのため、スマホ世代には「これ流行ったよね!」と言えるファッションの共通言語が少ない。
しかし、ある時友人が、「失恋ショコラティエの“サエコさんコート”流行ったよね」と言い出しました。すると、そこにいたみんなが口々に、「ディアシスターのチェックシャツも巻いてた!」「校閲ガールの丸メガネも買ったなぁ」と言い、「もしかしたら、私たちの流行を作っていたのは、石原さとみさんのドラマコーデなのかもしれない!」というオチに。そこで、今回は石原さんの出演ドラマ『失恋ショコラティエ』から、『校閲ガール』までを振り返り、そこで誕生したトレンドを分析していきたいと思います。
『失恋ショコラティエ』で大流行“サエコさんコート”
2014年に放送された『失恋ショコラティエ』。石原さんが演じた小悪魔女子・紗絵子は、ファッションやメイク、仕草や喋り方などの全てを“モテ”目線で計算しているキャラクターでした。一見、女性から敬遠されそうな役柄でしたが、あざと可愛いモテテクニックが、「勉強になる!」と話題に。モテコーデにも注目が集まりました。
そんな紗絵子の基本コーデは、淡いロングコートにミニスカート。どんなに寒くても、ニーハイブーツで“絶対領域”を死守していました。なかでも、ノーカラーで袖や首元にファーのついたアウターは、“サエコさんコート”と呼ばれ、大流行。筆者も当時、購入しました。ニーハイブーツにミニスカートを合わせて、「寒いけどモテのために我慢!」と震えていた日々を思い出します。
『ディアシスター』の美咲コーデが街に溢れた?
“紗絵子さんブーム”が起こった約半年後に、石原さんが出演したのが、『ディアシスター』でした。このドラマで石原さんが演じたのは、自由奔放な妹キャラ・美咲。美咲のカジュアルコーディネートは、「失恋ショコラティエとはまた違ったモテ服!」として人気を集めました。
美咲は、紗絵子のように寒さを我慢して足を出すこともしないし、大きめのマフラーや、タイツでしっかりと防寒。ヘアスタイルも、丁寧に巻いていた紗絵子とは違い、ルーズにまとめたおだんごヘアでした。大きめのTシャツに、デニムを合わせることが多く、アイテムはボーイッシュでしたが、カジュアルななかに、女性らしさを感じさせるコーディネートが見事でした。
迷彩のアウターや、バケットハットに、ミリタリージャケット……作中で披露されるさまざまなアイテムに注目が集まりましたが、なかでも流行していたのが、腰に巻くチェックシャツ。美咲は、妊娠していることを隠している役柄だったので、お腹を隠すためにチェックシャツをよく巻いていました。そのため、デニムにチェックシャツを巻き、白いミニリュックを合わせる“美咲スタイル”の女の子が急増しました。
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