皆さん、こんにちは。梅津奏です。

皆さんのお家に、庭はありますか?

私はマンション住まいですので、残念ながらありません。今後も東京で働き続けることを考えると、庭付きの一軒家に住む選択肢はあまり現実的ではなさそうです。

でも憧れはある、庭仕事のある生活。多分、仙台に住む祖母の影響ですね。彼女の口癖は、「庭をなんとかしないと」「草を抜かないと」。色々な種類の草花が季節ごとに咲いて、隅っこにラベンダーが隠れていたり、夏になるとトマトやオクラが採れたり。そんなに広い訳ではありませんが、祖母の創意工夫により不思議に調和のとれた豊かな庭になっています。

祖母の庭 with/。(庭の様子が全然見えませんね……)

私もたまに、ベランダで何か育ててみようかなとか思うのですが、その方面の才能は遺伝しなかったみたい。無念。

さて今日は、「緑の手」を持たない私が、妄想の中だけでも庭仕事を楽しみたいと思って読む本をご紹介します。


「庭のつるばら」庄野潤三

 

最近「山の上の家」を読んで、私の中で庄野潤三ブームが巻き起こっています。

美味しいものを食べながら、部屋の窓を開けて読みたい本。

1955年に発表した「プールサイド小景」で芥川賞受賞。市井の人々の暮らしに潜む、ちょっとした危機や揺らぎを描いた作品で注目を集め、後年は、庄野さん自身の、山の上の家での日々をライフワークのように綴っていました。「庭のつるばら」もその一つ。庭仕事をし、子供たちの家庭に「こどもの日のお祝い」を送り、ご近所さんから切り花が届き、妻はピアノの練習をし、寝る前にはハーモニカを吹く、そんな毎日。


月に一回の梶ヶ谷虎の門病院行きの日。支度を済ませてから、書斎のソファーにいたら、「英二伯父ちゃんのばら、切って下さい。五つ葉の上から」と妻にいわれて、鋏を取って庭へ。五つ葉を確かめて、その上を切り、妻に渡す。朝、図書館でいつもの体操をしているとき、窓越しに「英二伯父ちゃんのばら」の赤いのが見えた。昨日の夕方、庭へばらを見に行って、もう切ってもいいなと思って、見ていた。


老夫婦の庭には、沢山の草花が植えられています。「英二伯父ちゃんのばら」は、大阪に住む伯父が家の新築祝いに送ってくれたもの。日当たりの関係で枯れてしまったと思っていたら、ある年に急に花を咲かせたというエピソードが紹介されています。

庄野作品は、読んでいて懐かしいような切ないような……。「サザエさん」を観る気持ちとちょっと似ているかな?


「西の魔女が死んだ」梨木果歩

 

2008年に映画化もされた本作。何度も読み返した大好きな作品だったので、どんな風になるのか心配でしたが、地に足着いた優しい雰囲気が見事に映像化されていていました。

主人公は、不登校になってしまった中学生のまい。森の中で暮らす祖母のところにしばらく滞在することを母に提案されます。イギリス人である祖母は、自然に精通し、予知能力などの不思議な能力を持つ家系の出身。まいはそんな祖母のもとで、「魔女修行」として、生活習慣を整え、植物のことを学ぶようになります。


「ここはまいの場所にしましょう。でも、いじらないで、このままにしておいて。植えるものは、そうね……野アザミとか、ツリガネニンジン、リンドウ、いろんな種類のスミレ、そういう強くて優しい草のものにしましょう。スコップで移せるぐらいのね。そうしておいて、秋には、スノードロップの球根を、宝物を隠すようにあちこちに植え込むといいわ」


まいが祖母から、「まいの畑」をもらうシーン。私も彼女のように、自分だけのサンクチュアリが欲しいなあ。


「オーストリア滞在記」中谷美紀

 

エッセイを書く俳優さんは数多くいますが、私が特に好きなのが堺雅人さんと星野源さん、そして中谷美紀さん!

2018年にウィーン・フィルのヴィオラ奏者の男性と結婚された中谷さん。以来、オーストリアと日本を行ったり来たりする生活を送っているそうです。そして迎えたコロナ禍、中谷さんはザルツブルグの家に期せずして閉じ込められることになりました。


ザルツブルグの田舎のこの家で草むしりに勤しみ、夫との他愛のない会話を楽しみ、週に1~2度ほど訪れる継娘のJと戯れ、ドイツ語を学び、機会があればクラシックコンサートやオペラを堪能し、仕事のご依頼をいただければ日本へ戻って演技をする


大女優さんの優雅な暮らしを描いたエッセイと思うなかれ。人生のたずなをしっかりその手に持つ中谷さんは、なんでも自分でやるのが信条のようです。


庭のコンセプトは白、紫、そしてグリーンのグラデーション。雪解け後の芽吹きの季節から冬枯れの季節まで、少しずつ季節をずらして開花し、四季を通じて楽しむことのできる庭を目指す。素人なりに彩りを考慮して大まかな設計図を描いてはいるものの、植物同士の相性は育ててみないとわからない。


東京では庭仕事とは縁遠い生活をしていた中谷さんが、園芸店やご近所さんからアドバイスをもらいなら試行錯誤して庭を作っていく様子がとてもリアル。庭造りというのは仕事に近いものなんだなということがよく分かります。一度始めたら投げ出せないし、毎日目を配って手をかけてあげる必要がありますもんね。その大変そうな様子も含めて、「中谷さん、素敵……!」と思ってしまう私。はい、ただのファンです。


こんな感じでしょうか。
うーん、私の心の宮沢賢治がうずいています。私の人生に庭仕事がやってくる日はくるのかしら?それともこのまま、憧れに留めておいた方がいいのかしら。

 

私がこのブログをアップすることを察知したのか、突然から送られてきた実家の庭の写真。手前左がニコロ・パガニーニという薔薇らしいのですが、なかなか咲かずやきもきしているみたいです。(「ニコロ・パガニーニ 薔薇」でググったら真っ赤な薔薇の画像が出てきたんだけど、本当に合ってる?おとーさん。)

 

旅先で訪れた庭にもたくさん素敵な思い出があります。圧巻だったのは、フランスはジヴェルニーのモネの庭。