アメリカ人女性は野心むき出しが当たり前
 

キャサリン妃派の日本VS.メーガン妃派のアメリカ【ハウス・オブ・カード 野望の階段】_img0
ネットフリックスオリジナルドラマ。『ハウス・オブ・カード 野望の階段』公式ホームページより。

メーガン妃とヘンリー王子夫婦の「英国王室で差別があった」というインタビューが世界中で問題視されたのは、記憶に新しいところ。そのこともあって、関係性がさらに悪化していると言われていたウイリアム王子とヘンリー王子ですが、エリザベス女王の夫・フィリップ殿下の葬儀で、キャサリン妃のアシストにより二人が会話をしたシーンがカメラに捉えられ、胸をなでおろした英国民も多かったよう。まさに内助の功が話題になったキャサリン妃ですが、メーガン妃とはあまりに対照的な“妻ぶり”が比較されることもしばしば。そこでメーガン妃のインタビューが出た後に、周辺の知人女性30名ほどに「メーガン妃とキャサリン妃、どちらに好感を抱きますか?」とアンケートをとったことがあります。その結果はどうだったかと言いますと……、驚くことに9対1でキャサリン支持派が圧倒的多数を占めていたのです

 

なぜこれほどまでにメーガン妃は、彼女たちの間で受け入れられなかったのでしょう? 私はメーガン妃の是非どうこうよりも、むしろ、この極端に偏った結果のほうに強い関心を抱きました。私の周辺に限らずメーガン妃は日本において不人気なようで、彼女のニュースに関するネットの書き込みを見ても、ほぼ100%の割合で批判コメントがズラズラと並んでいます。中にはもはや揚げ足取りに近いものも。

でも感情抜きに考えれば、彼女は本当にそこまで“あり得ない”女性なのでしょうか? もしそうなら、彼女の母国アメリカでも同等の不評を買っているはず。ですが、実際の反応は真逆です。大半の国民はメーガン妃のインタビューを「勇気ある行動」と支持し、ヒラリー・クリントン元大統領候補にいたっては「彼女はうつむき続けることを選ばず、自分の人生を生きようとした。彼女にはその権利がある」と擁護しています。

一体なぜ、日米でこれほどまでの違いが生まれているのでしょうか? そこで鍵となってくるのが、このヒラリーも言っている「自分の人生を生きる」という価値観だと思うのです。

私事ですが、実姉がアメリカ人と結婚し、アメリカで働きながら子育てをしていることもあって、アメリカ女性の考え方というものに触れる機会が多くありました。そしてアメリカでは、「女性が夫のためでも子供のためでもない、自分自身の人生を生きたいと主張するのは当然のことだ」という考え方が強烈に浸透していることを感じています。おそらくメーガン妃の行動もその延長で、アメリカにおいては至極当たり前のこと。何らあり得ない部分はないのだろうな、と感じているのです。

そうは言っても、この「自分の人生を生きる」という価値観はあまりに壮大で、個人の権利を主張して和を乱すことを良しとしない日本人には、ピンとこないのは当然だと思います。そこで紹介させていただきたいのが、あるネットフリックスの人気ドラマです。それは2013年にスタートし、ネット配信ドラマとして初のプライムタイム・エミー賞を獲得するなど全米で大好評を博した『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。アメリカ大統領を目指すある野心家夫婦の物語なのですが、興味深いことに、この「女性が自分の人生を生きる」ということがどういうことなのか、ものすごく極端な方法で、ものすごく分かりやすく描かれているのです。

 
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