加齢で筋肉量が減り、筋力が衰えてくると何が起こるのか。その健康被害の一つが「転ぶこと」です。まだ30代、40代の働き盛りの世代の人にとっては、そもそも転ぶこと自体が縁遠かったり、「たかが1回ぐらい転んだところで」と考えたりされるかもしれません。しかし、歳を重ねると、転ぶことは「それ以上」を意味するようになります。
転倒は、高齢者の抱えるとても頻度の高い問題の一つです。過去の報告によると、65歳以上の2〜3割の人が1年に1回以上転倒を経験すると報告されています(参考文献1)。また、80歳以上になると転ぶ人の割合がさらに1割増加することも知られています。
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一度の転倒がまた転倒を呼ぶという事実
さらに困るのは、「一度転んだ人はまた転ぶ」という事実です。実際に、少し古い報告ではありますが、過去1年で一度以上転倒した人は、次の年に転ぶ確率が5.9倍高くなるということを試算した報告があります(参考文献2)。また、仮に転倒がなくても、2回以上つまずいただけで翌年転ぶ確率が2.3倍上昇するとも試算されています。別の研究では、一度転倒した人の約6割が翌年にも転ぶと報告されています(参考文献3)。
このように、転倒は繰り返されてしまうのです。
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