ネットフリックスで今年3月から配信がスタートした青春フェミニズム映画『モキシー ~私たちのムーブメント~』。校内にはびこるあまりにも多くの男女不公平に頭にきた主人公が、「モキシー(勇気)」という匿名で是正を訴える冊子を配布。そこから、イケてる女子も、地味な女子も、皆が団結して「私たちは顔を上げていたい!」と声を上げていく、という物語です。

ネットフリックスオリジナル映画『モキシー ~私たちのムーブメント~』公式ホームページより。


日本のテレビ番組における
「夫が妻に歩み寄る」茶番劇のゆくえ


こちらは2015年に刊行された小説がベースだけに、高校での性差別や不平等の描き方はやや誇張されたものがあるとは思います。ですが、その真っすぐに疑問を抱き、怒り、手を取り合い、時に絶望しながらも諦めずに前へ突き進む彼女たちの姿は、見ていて息苦しくなるほど胸を打つものがあります。恥ずかしながら私は、何度も目をうるませ、「チーン」と鼻をかみながら見てしまったほど。

 

そして見終えた後、「ティーンの女の子たちがこんなに頑張っているのに……」と思ったら、居ても立ってもいられなくなって。先日モヤッとしたものの蓋をしてしまったある番組に対し、流してはいけない!と、ムクムクと使命感がわいてきたのです。ということで、恐縮ですがこの場を拝借して書かせていただくことにしました。

そのモヤッとした番組というのは何かと言いますと、それは5月5日に放送された朝の情報番組『モーニングショー』(テレビ朝日)の、「妻がイラッとした夫の一言」というコーナーです。

ここでは、そのイラっととくる一言として「ご飯、簡単なものでいいよ」「洗濯やっておいたよ」など、街頭インタビューで上がってきたものをいくつか紹介。そして、言い方の正解例として、「カレーでいいよ」ではなく「カレーだと嬉しい」とレクチャーしていました。

……もう、この正解例にイラっときた人も多いことと思います。

案の定、コメンテーターとして出演していた元AERA編集長の浜田敬子さんに、「いや、これもダメですよ。なぜ作るのが妻なのか」とツッコまれていましたが。……でも、私からすればこの浜田さんの指摘すら優しいと思えました。というのも私は、もっとそれ以前のところからこのコーナーに対して強烈な引っかかりを覚えていたからです。それは何かというと、このコーナーでコメントしていた男性出演者たちの態度!

こういう企画では概して同じ現象がみられるのですが、それは、家庭内不平等への不満を訴える女性たちの声に対して、いつも男性たちが「てへへ」というお茶らけた反省の姿を見せること。『モーニングショー』でも早速、このコーナーのMCを務めていた男性アナウンサーが、「ほぼ全て身に覚えがあります」という全く本気度を感じられない恐縮ぶりを見せていました。いやいや、違うでしょう。女性はマジメに怒ってるんですよ。そこにリスペクトがあったら、「すべて身に覚えがあります」なんてひと言になるに、本気で受け止めて改善しているはず。それはまるで、「鬼嫁に怒られてショボーン」「アハハ!」という、お笑いのテッパンネタのようにしか私には見えなかったのです。

そしてメインアナウンサーの羽鳥慎一さんも、普段は比較的女性に理解あるスタンスが感じられるコメンテーターの玉川徹さんも、終始みんな、「てへへ」な半笑いの表情で女性たちの声を聞いていたのです……。

 
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