米津玄師さんが主題歌を務めるドラマ『リコカツ』。北川景子さんと、永山瑛太さんが正反対な夫婦を演じている本作は、交際ゼロ日で結婚した夫婦が、価値観の違いをきっかけに “リコカツ=離婚活動” を始めるというストーリー。しかし、「離婚」を考えているのは、2人だけではないようで……。紘一(永山瑛太)と、咲(北川景子)の両親。そして、姉までが “リコカツ” 中というまさにカオスな事態。作品の雰囲気もどちらかと言うとコミカルだったので、「このドラマで米津玄師さんの主題歌!?どんな感じになるのだろう……」と全く想像がつきませんでした。

『リコカツ』公式サイトより(TBS系列 金曜夜10時〜)


しかし、第一話のクライマックスで「ずっと ずっと ずっと……」という米津さんの切ない歌声が流れた瞬間、“名作ドラマが誕生する” 確信を持ちました。『アンナチュラル』の「Lemon」も、『MIU404』の「感電」もそうでしたが、米津さんが主題歌を担当したドラマって、主題歌も含めてストーリーが完結する! みたいなところ、ありませんか?

米津玄師 「Pale Blue」アーティスト写真


例えば、『アンナチュラル』。同作では、石原さとみさん演じる主人公・ミコトが、死因を究明する解剖医なこともあり、「死」と向き合う人々の悲しみが描かれていました。しかし、米津さんの主題歌「Lemon」が流れると、その先にある「未来」について考えたくなるんです。毎週、「Lemon」が流れた瞬間に涙がドワーっと流れて来ました。でも、悲しみにどこか光が差し込んでくるような。そんな主題歌でした。

TBS金曜ドラマ『アンナチュラル』主題歌「Lemon」米津玄師(2018年3月14日リリース)


また、警察庁の “機動捜査隊” でバディを組んでいる伊吹(綾野剛)と、志摩(星野源)が、24時間というタイムリミットのなかで、犯人逮捕に挑んでいく『MIU404』。感覚派・伊吹と、理論派・志摩の凸凹コンビが、事件を解決するたびにじわじわと “仲間” になっていく様子が、とても魅力的でした。そんな『MIU404』の主題歌「感電」は、“MIUロス” に陥った時にずっと聴いていた楽曲。出だしのホーンセクションがかかった瞬間、一気に『MIU404』の世界観に引き戻されるんです。最終回では、作中の台詞と主題歌がリンクする場面もありました。

5thアルバム「STRAY SHEEP」米津玄師(2020年8月5日リリース)TBS系金曜ドラマ『MIU404』主題歌「感電」、TBS系日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』主題歌「馬と鹿」を収録

さらに、2019年に放送された大泉洋さん主演ドラマ『ノーサイド・ゲーム』。同作は、低迷中のラグビーチームのゼネラルマネージャーを任されることになった君嶋隼斗が、チームの再興に奮闘していく姿を描いた作品です。主題歌の「馬と鹿」は、「まだ歩けるか 噛み締めた砂の味 夜露で濡れた芝生の上 逸る胸に尋ねる言葉 終わるにはまだ早いだろう」など、作品にマッチする歌詞が多く登場します。そして、どの回も良いタイミングに流れるんです……!多くのラグビー選手からも支持され、『ラグビーワールドカップ2019日本大会』の会場でも流れるなど、ラグビーの盛り上がりにも大きく貢献していました。

 


ストーリーの流れを変える『リコカツ』「Pale Blue」

TBSドラマ『リコカツ』主題歌「Pale Blue」(2021年6月16日リリース)

そして、『リコカツ』の「Pale Blue」。米津さんが主題歌を担当するドラマとしては、初のラブストーリーになるということで。これまでの主題歌は、作品の世界観とマッチしている曲が多かったですが、「Pale Blue」は、ストーリーの流れを少し変えるような。日々楽しく生きていそうな登場人物たちの、心の内が伝わってくるような。そんな気持ちになる主題歌でした。米津さんが主題歌を担当されたドラマはどれも名作揃いなので、『リコカツ』も名作になる予感! 切ないけれど、どこか温かい。6月16日リリースの「Pale Blue」とともに、作品を楽しんで観ていきたいです。。


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