「最近肩がまわらなくなって、ついに自分も五十肩かなあ」

40代や50代を迎えた人から、半ば笑い話のようにこんなセリフが口にされるのをよく耳にします。

あるいは、まだ30代にもかかわらず、「僕も五十肩だよ」と肩こりの原因を表現する人もいるかもしれません。

思えばこの五十肩という病気、しっかりと理解できていたでしょうか。「五十」というのがちょうど様々な場面で「老化を感じやすい」年齢ということもあり、老化の始まりの代名詞のようにも捉えられますが、本当に老化のサインなのでしょうか。

 


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五十肩は正式な医学用語ではない


そもそも、病名に年齢がつく病気が他になかなかないことに気がつきます。「二十膝」や「八十肘」などもあれば興味深いのですが、そんな病気はありません。だからこそ、余計に老化の代名詞と捉えられやすいのかもしれません。

実は「五十肩」というのも、正式な医学用語ではありません。五十肩が意図する病気は、実際には「肩関節周囲炎」や「癒着性関節包炎」と呼ばれています。ただ、これだと何のことだかよく分からなくなってしまいますね。それほど、「五十肩」という呼称が世の中に浸透していることの裏返しでもあります。

古くから使われている言葉というのは、的を射ていることも多く、確かに肩関節周囲炎は50代に発症し始めることの多い病気で、発症のピークは50代の中盤と報告されています(参考文献1)。逆に、40歳以前に発症することは極めて珍しいと考えられています。

なので、先ほどの30歳で「五十肩に違いない」と言っている人は、他の理由を探す必要があります。