いまや空前の美容医療ブーム。

整形、注入、糸リフト……。“若返り”を目的とした様々な施術。少し前までそう身近なものではなかった美容医療が、少しずつ一般化してきているけれど……。

「若く見られること」が本当の美しさの正解なの?

自称“加齢コンプレックス”のライター・小澤サチエが、経験談を通じて、現代のアンチエイジングブームに物申す! 私たちが目指すべき「美」の形とは。

 


「ヒアルロン酸やボトックス……。注入系は、まだやりたくない」


ここ数年で、「美容医療」は私たちの生活に一気に浸透しました。

 

その背景にあるのは、美容クリニックの安価化や韓国ブーム。SNSの存在も大きいでしょう。そこにコロナ禍のリモートワークやマスク生活も加わって、ダウンタイムのある施術に抵抗がなくなったという声も聞きます。

私はこれまで、月に1回程度、美容皮膚科でレーザーやHIFUなどの施術を受けてきました。周りの友人たちの中には、ダーマペンや水光注射をやっている人も多いです。

一方で、年下のお友達(アラサーくらい)が時々「私、ヒアルロン酸やボトックス入れてますよ」なんて気軽に教えてくれるものですから、驚くこともあります。

つい先日、ランチ中にアラサーの後輩から、「この涙袋、ヒアルロン酸なんですよ〜」とまるで「昨日まつ毛パーマかけたんですよ」くらいの温度感で言われたときは、完全にジェネレーション・ギャップを感じました。

私は今年40歳になりますが、“注入系”になると一気に“整形”という概念がつきまとうので、バレたくないという人が私の世代には多いです。同時に、抵抗感を抱く人もまだまだいるのが事実。

私自身も、自分の中のルールみたいなものがありました。レーザーなどの“照射系”はOKだけど、ヒアルロン酸やボトックスなどの“注入系”は「ちょっと待った」。つまり、注入系は私にとってのボーダーライン。

自分の性格的に、一度手を出したらどんどん欲が出てきてしまいそうなので、本当に悩みが深刻化するギリギリの瞬間まで注入系はやらずにねばろう……と、心に固く誓っていました。

ところがある日、私はボーダーラインをあえなく越えてしまったのです。