私は”怒りのエリート”
編集部 アンガーマネジメントでは、まず自分の怒りの状態を知ることから始まると聞きました。
N 事前に準備していった診断書で怒りを「強度・持続性・頻度」の3つの指標に分けて分析する項目があり、私は「強度77・持続性64・頻度79」と、どれも怒りの偏差値が高く、「怒りのエリートですね」と講師から太鼓判を推されるほどの、攻撃性の強いタイプだったんです。
そのほかに、怒りの対象をぶつけるものが「人・物・自分」のどこにどう向くかなどを総合的に判断し、6つのタイプの怒り方にそれぞれが当てはまっていきます。
ちなみに私は「公明正大・天真爛漫タイプ」で「=長いものに巻かれたり、大きな流れに流されたりすべきではない、道徳や正義を守らねばならない、という信念が肥大化しているタイプ」だという診断。まったくその通りでした。
怒りのメリットはないんです
編集部 実際の講座内容はどのようにスタートしたんですか?
N 講師が最初に提示したのは「怒ることのメリットとデメリットを書いてください」ということで、これは現状を把握する上で抜群に優れた質問だと思います。
【メリット】一時的にスッキリする
少しは周りが変化する
【デメリット】罪悪感を感じる
不快感が残る
周りの人との関係の悪化
自身が怖がられる
後悔する
不信感を持たれる
怯えられる
時間の無駄
疲れる
結局解決しない
N デメリットは記入欄からはみ出すほどで、「怒りにはメリットがない」ということが一目瞭然になるプログラムでした。講師によれば、私の書いたメリットも、「一時的にあなたはスッキリしても周りはどうなっている?」という点からして、全くメリットではないと。
もし仮に、怒りにメリットがあるとしたら、「アスリートや芸術家のような、怒りを使って爆発的に力を発揮したり、怒りを昇華して次の新しいものを生み出すエネルギーになることぐらい」ということでした。
編集部 怒りによって解決できることはとても少ないということですね。むしろ悪くなることの方が圧倒的に多いという。
怒りは瞬発的で原因は些末なことが多い
N そのあとは、「最近一週間で怒ったことを3レベルで書き出してみよう」という質問でした。
レベル3「すごく頭にきたこと」・・・「娘に『学校に来ないで、ママは恥ずかしい』と言われたこと」
レベル2「まあまあ腹が立ったこと」・・・上司に企画書を無視されたこと
レベル1「軽くイラっとしたこと」・・・娘の作文のレベルの低さに呆れたこと
N 同席していた同年代の女性は、「小学生の息子が塾に行きたいと言ったから高額な塾に入れたのに、まったく勉強しない」ということをレベル3で憤っていました。
編集部 どのご家庭も同じような悩みをお持ちなのかもしれませんね。
N 講師の方に言われたのは、私も彼女も怒りの内容を細かく覚えている方だというのです。この研修に来る人の中ではやや珍しいタイプだそう。
編集部 アンガーマネジメントに来る人の大多数が、「何で怒っていたのか忘れた」というケースが多いのですか?
N そのようです。怒りは瞬発的に爆発し、その原因は実に些細なことが多いというメカニズムなのかもしれません。
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