「職場で加害者にならないためのスキル」として必要性を感じたアンガーマネジメント。やがて、自分の怒りが家族の幸せをも崩壊させる可能性に恐怖した、あるひとりのアラフォー女性が、実際にアンガーマネジメント講座の受講に踏み込むまでをレポートします。自分の怒りのタイプがわかるQ&Aはこちら。
”白い家”での娘への恫喝
編集部 前回は、Nさんが職場で初めてアンガーマネジメントの必要性を感じた出来事について、語っていただきました。実際に講座を受講しに行く決心をされたのは、職場に加えてご家族間の問題が加わったからということですが……?
Nさん(以下N) 「絶対にアンガーマネジメントをしなくてはならない」と思ったのは、この一年、小学4年生の娘への恫喝に近い叱責の連続に、娘も私も夫も近所に住む私の両親も疲労困憊したからです。
一年ほど前、「報道ステーションのメインキャスターを務めている、富川悠太アナの自宅に警察と児童相談所職員が駆けつけるというトラブルがあった」と報道がありましたよね。そのトラブルの原因は「妻の怒鳴り声から虐待の疑いがあるとのこと。富川悠太アナの自宅は、近隣住人の間で“黒い家”として有名だった」というニュースの記事を読んだとき、これはまさに私のことだ、と思い当たったんです。
コロナ禍以前から始まった、10歳の娘への日々の勉強の強制、問題が解けないことへの怒鳴りつけ、テストのミスへの叱責、数え上げればきりがない、ひどい行為と暴言の連続です。これは、もはやまぎれもなく娘への虐待だという自覚がありました。しかもそれは、今主流の中学受験の波に娘を乗せられなかった、という自分勝手な親の焦りから出るものであったのは間違いありません。
編集部 共働きのNさんは、子育てはほぼご自身と近所に住まうご両親のヘルプでやっていらっしゃるんですよね。お話を伺っていると、ご自身の感情の分析も客観的にされているように感じます。それでもお嬢さんへの期待の大きさが、アンガーとなって現れてしまう……。
N 娘は、このコロナ禍で友達と自由に遊ぶこともできないストレスフルな日々にもかかわらず、毎日きちんと学校へ行き、夜遅くまで勉強をし、習い事もきっちりこなし、成績はトップクラス、学年代表の栄誉を受け、10歳という年齢にありがちな親への反抗や言葉遣いの荒さなど小さな問題は色々あるけれども、毎日明るく力強く頑張っているんです。
それで充分なはずなのに、「もっと、もっと」「どうしてこんなこともわからないの?」「なんでこんな簡単な問題を間違えるの?」「字が汚い」「早くやって!」「何度言ったら分かるの?」「バカなんじゃないの?」「どうしようもない」と、信じられないぐらいの罵詈雑言、暴言叱責を繰り返してしまったんです。彼女が泣きわめくのも意に介さずに……。
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