足を実際に観察してみると、中にはとても綺麗に手入れをしている方がいます。特に女性にはそういう傾向があるかもしれません。一方、特に独居の男性にはそうではない人が多い傾向があるかもしれません。爪が伸びっぱなしだったり、足の関節がすでに変形していたり、ひどいカビの感染症にかかっていたり。それでも本人が気づいていないケースも多々あります。
「足は何ともないよ」と言っている人の中にも、たくさんの足の病気や異常を見つけてきました。だからこそ、「何ともないよ」と言われても、一度は靴下を脱いでもらうようにしているのです。
足のキズが原因で重大な感染症になることも
糖尿病のある患者さんではなおさら重要です。糖尿病を患っていると、足の感覚が弱くなってしまうことがあります。このため、足を怪我しても痛みを感じづらく、足にキズができてしまっても気がつかないことがあります。
また、糖尿病によって感染症にかかりやすい状態になっている場合、足のキズから細菌が入り込んで、命に関わるような重大な感染症に進展してしまうこともあります。
実際、糖尿病患者さんの最大で約3割に足のキズが認められることが報告されています(参考文献1)。その多くは予防できるものであるにもかかわらず、足のキズができてしまった人のうち2割は、最終的に足の切断が必要になるとの報告もあります(参考文献1)。
また、足にキズがある人は、足にキズがない人と比較して、死亡リスクが2.5倍に増加することも報告されています(参考文献2)。
このことからもわかるように、足をこまめに観察する、足を守るというのはとても大切なことなのです。
前回記事「「ビタミンCで風邪予防」は間違い!?医師が教えるサプリメントの必要性」はこちら>>
参考文献
1 Armstrong DG, Boulton AJM, Bus SA. Diabetic Foot Ulcers and Their Recurrence. N Engl J Med 2017; 376: 2367–75.
2 Walsh JW, Hoffstad OJ, Sullivan MO, Margolis DJ. Association of diabetic foot ulcer and death in a population-based cohort from the United Kingdom. Diabet Med 2016; 33: 1493–8.
写真/shutterstock
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