熊本県玉名郡和水町。菊池川流域に位置し、豊かな田園風景が広がるこの地は、「いだてん」でもお馴染み、日本でオリンピックの扉を初めて開いたマラソン走者、金栗四三が生まれた地。

山あいに佇む熊本県玉名市和泉町。美しい田園風景が広がる町。

今でも残る生家から少し車を走らせると、今回ご紹介する「花の香」の酒蔵があります。

昔の趣のある建物はそのままに、リノベーションを行い、テイスティングのできる素敵なバーカウンターと写真家ハービー山口氏の作品が飾られた「花回廊」が併設されたお店は、しばし時を忘れさせてくれるような空間。

この場所を訪れると、ピンと空気が張った、一種の神々しささえも感じると同時に、不思議な心地よさが漂います。

全ては「水」が原点。まさに神が宿る場所なのかもしれません。

一度は訪れていただきたい「花の香」の花回廊。代々の総理大臣直筆の「國酒」の文字は圧巻
テイスティングバーの前には、庭師 牧井貞三氏のこだわりの中庭が広がる。まるで絵画のよう。シンボルでもあり代々この酒蔵を見守ってきた梅の木は、春先になると蔵の中に薫りを運んでくれたそう。そこから「花の香」と名付けられました。
花回廊の中には井戸からこんこんと水が湧き出ています。自然と神の敬意も忘れずに。
花回廊の一角にはハービー山口氏の写真が見ることができるギャラリーも。季節によってレイアウトが変わり、素敵な写真で和水の四季の移り変わりや酒造りの様子もご覧いただけます。

 

 

6代目にあたる神田清隆社長はこの酒蔵を受け継ぐ杜氏。

当初は家を継ぐことは視野になく、むしろ受け継いだ時には酒蔵の存続の危機に立たされていたそう。立て直しを試みるために、外で修行を積み、一から酒造りの見直す日々。

今なお挑戦の真只中、彼の考える「酒蔵 花の香」の在り方を突き詰め続けています。

それはこの土地が生み出すもの、全ては原点回帰にあると言います。

花の香6代目神田清隆社長。情熱と素晴らしい感性の持ち主。誰もが彼の話に引き込まれます。

 

土からの可能性

熊本は90%以上も地下水で水を補っている場所。太古から火山によりできた石清水が豊富で、土地もミネラル成分が豊富。ゆえに、お米や山の恵はこの土地の生まれ持った力があるからこそ。

神田社長はこの土地が本来持っている力を存分に引き出すことを考えています。まさにテロワールに基づく土台作りに情熱を傾けています。

「この和水町の地を江戸時代の農業と土地に戻す」

この気も遠くなりそうな壮大な夢を掲げ、自然農法で手植えにこだわった田植えをまさに今取り組んでいます。田植えが終えた後は日々ジャンボタニシとの闘いが始まり、もはや酒造りという枠を超え、農業哲学を持って土作りとその可能性を探り続けています。

田植えが終わり水田の景色が美しい季節。側から見る景色は美しくとも、これから害虫や水害との闘いが始まります。

 

伝統へのリスペクトと新たな世代

伝統を受け継ぐことの重責は、当人でなければわからないこともあります。

古き良きものへのリスペクトはあっても時代とともに変わることへの順応性も大切。「変わらない」が良いことではなく、その場所でとどまることなく挑み続ける、その信念がないとお家は衰退するだけ。

先日の田植のイベントでは他の蔵元ファミリーも参加されていました。伝統文化が高い世界は閉鎖的で敷居が高いだけに、お互いの酒蔵のお手伝いということはこれまで皆無だったのでは?

神田社長に話を伺うと、小さいながら独自の酒蔵で人気のある蔵元とよく集まって頻繁にコミュニケーションを交わしているのだそう。生みの苦しみも楽しみも共有して、切磋琢磨して支え合う・・・今の時代だからこその在り方のような気もしますし、とても素敵な関係性。

伝統の中に新風が吹き込み、何を生み出してくれるか、本当に楽しみでなりません。

田植えの伝統行事「早苗饗祭」。伝統装束を身に纏った早乙女たちと共に、近年端折られた神事も含めて全てが原点回帰。
ミモレでもお馴染みの行方ひさこちゃんも参加。早乙女の大役にチャレンジ!
福岡の蔵元「田中六五」ファミリーの皆様も駆けつけて田植え。素敵なコラボ酒になりそうです!

 

ぜひ女性におすすめしたい、華やかで香り高い日本酒

これまでの「花の香」のメインでご紹介していた「桜花」をはじめ、国内外数々の賞を受賞。2017年にはフランスのKURAMASTER審査員特別賞を受賞し、味にも定評を得ています。フレンチなどの洋食もフィットするような香り高い日本酒は、ワインの代用としてもいけるような華やかさ。

私も然り、日本酒の家飲みはなかなかハードルが高く、お寿司や小料理屋さんなど外で少し嗜む的な存在でしたが、「発酵」をポイントとした発泡酒などもあり、ホームパーティーなどでも大好評。

これからはあえて江戸時代の農法を取り入れ、原点回帰のモノづくりと、それをさらに深堀し、『今』を生み出すことにチャレンジします。

プリミティブを求めながらも新たなテイストが生まれる予感。乞うご期待です!

元松本酒造の杜氏松本日出彦さんとコラボし、瞬間で完売した幻の酒となった別誂「産土(うぶすな)」。こういう取り組み素敵ですよね。秋口には自然栽培米で作られた「穂増(ほませ)」と「産土スパークリング」が完成予定。こちらも楽しみです。
 

私もご縁あって「花の香」の存在を知ったばかりでしたが、神田社長の溢れる地元愛やテロワールへの思い、それが次世代の農業の可能性を引き出す担い手となり、その情熱が正しく未来のカタチとして残っていくことを願わずにはいられません。

みなさまにも神田社長の思いを心の片隅に、いつか「花の香」のお酒を愉しんでいただきたく機会があれば嬉しいです。

神田家ご一家。新たな世代に受け継がれ、あえて原点回帰を目指しはじめた神田社長のテロワールに基づく取り組みはこれからも目が離せません

 

花の香酒造

〒861-0906 熊本県玉名郡和水町西吉地2226-2  TEL:0968-34-2055

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