梅雨明けの京都。

本来であれば祇園祭で盛り上がる真っ只中で、山鉾(やまぼこ)が終わったら梅雨明けとされてきましたが、その雄姿を見ることなく京都は少し寂しい夏の始まりです。

32年後には1000年の歴史を迎える世界遺産平等院。今まで一度も建て替えなく1000年の歴史をそのままに残した建物はここ以外には存在しないと言われています。

時の関白藤原頼道によって建立された鳳凰堂の姿は、その時代に相応しい貴族社会の優美で荘厳な佇まいをそのままに、朱赤に染まった阿弥陀堂が美しく水面に映ります。まさにここは極楽浄土の世界。

 
蓮の花も美しい季節で、絵巻さながらの雅な風情。

 

そんな記念すべき時代を迎えようとする直前に私たちを襲ったコロナ。

コロナ禍の収束と平等院の新たな千年の弥栄を祈願できるよう、デザインプロデューサーである山崎あかねさんを中心とした「平等院奉納プロジェクト」が立ち上げられ、その白羽の矢が立ったのが、以前より親しくさせていただいている松井龍哉さんでした。

そういう経緯で私たちもお祝いをかねて拝観することになり、今回の京都の旅へ。

 

平等院奉納プロジェクト 鳳凰の卵

 
私はこんな想像をした。
この疫は人の業を問い新序を拓く素因として吹き荒んでいる。
鳳凰はついに翔ぶ。
新たな千年への「和」を卵に込め。
平等院の池に落とし・・・。
この現代美術作品「oeuf ho-oh(鳳凰の卵)」は卵が池に落ちた瞬間をガラスに閉じ込め、私たちが懸命に生きている今を未来に繋ぐ。今回の闇から次に向かう意思を示した歴史の証として碑となる。〜 松井龍哉  
写真協力:平等院奉納プロジェクト 

 

ガラスに密閉された藍色の布は小石丸絹布は藍染師である中西秀典さんによるもので、奈良時代より日本人の身体を包み守り、今もなお受け継がれ愛されてきた「本藍染絹布」を用いて水面を表現。

ガラスは透明度の高い高純度の光学ガラスを採用。最先端の技術を屈し、レーザー光線で彫刻された「光学ガラス卵」は、落とされた卵の気泡までも美しく繊細に表現。

まさに新旧の文化と技術が美しく調和した作品です。

作品の展示は年内までとなり、また疫病が世界を覆うかもしれない、もしくは祀られる数百年後まで、奉納後は私たちの目に触れられることがないという。

なんと神秘的・・・

数百年後の未来の誰かが見るとき、この時代の文化や技術、そしてこの時代を生きた私たちをどう見るのでしょうか?そう思うと、この未来に私たちは何を思い、残していくのか・・・この作品を目の当たりにし、改めて存在の意義を問われているような気がしました。

ちょっとしたタイムカプセルでもあり、未来へのメッセージ。ロマンを感じさせるプロジェクトです。

FLOWER ROBOTICS代表でデザイナーの松井龍哉さん。私たちの中で愛称「博士」。愛に溢れるロボットデザイナーであり、建築デザイナー。LVのコレクションで登場したロボットや、福岡まで飛んでるスターフライヤーの機体も彼のデザインによるもの。国内外で幅広くご活躍中です。

作品は平等院内にあるミュージアム鳳翔館にて年内まで展示。限られた期間ですが、京都・宇治へお越しの際はぜひ覗いてみてください。

 

ミュージアム鳳翔館で記念グッズ

 
作品をモチーフにした菓一條さんの上生菓子「鳳凰の卵」。見た目の清涼感も夏のお菓子としてぴったり。
藍染めされた本藍染め鳳凰マスクは鳳凰のモチーフがワンポイントに。ちりめんのような肌触りで浴衣や着物でもコーディネートできそうなマスク。奉納された小石丸絹を使用したマスクもありましたが、手が出ませんでした(汗)。
通販でも買えるように準備中とのこと。ご興味あればこちらもぜひ。