フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

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言葉を生業とするアナウンサーですが、あえて言葉を発しない方がいい場面もあります。
それは主に、オリンピックで連日流れていた、インタビューの時。

日常会話では、誰かが話している最中に「はい」「うん、うん」「分かる〜」などと、相槌を打つのが自然ですし、そうしたリアクションがある方が話しやすいですよね。
ところがマイクをつけていると、そんなたった一言がとても耳障りになってしまいます。
人間の耳は、必要なものとそうでないものを聞き分けて音量調節しているため、普段は気にならない相槌も、マイクを通して均一の音で耳に入ると、やたら大きく大袈裟に聞こえてしまうのです。

 

似たようなことは多くの方が経験されていると思います。目も、自分に合わせて自在にフォーカスしてくれているので、素晴らしい景色に感動して撮影してみると、実は手前に邪魔なものがあったり、それほど大きくなかったり、のぺっとして見えたり……という写真あるある。
その耳バージョンが、起きてしまうのです。

環境が許せば音声さんが調節してくれますが、プロとしては余計な負担をかけないように、無駄な声を出さないことを心がけます。

一方で、黙ったままのせいで相手が話しづらくなることも避けたい。
そこで、非言語コミュニケーションの出番です。

アイコンタクト。
頷く。
目を見開く。
微笑む。

決してリアクションありきではないのですが、表情を自由に解き放って、言葉の代わりにします。

黒柳徹子さんのヘアスタイルは、「徹子の部屋」で自分の背中越しにゲストを映した時に、頷いていることが伝わるようにと考えてのことと聞いたことがあります。
さらにその頭の中からあめ玉が飛び出してくるのですから、徹子さんならではのユーモア、伝えるための創意工夫は、なかなか真似できることではないと、改めて感じます。

私自身の経験で記憶に残るのは、「キユーピー3分クッキング」。
正味7分しかないので数秒黙るのももったいない番組なのですが、豚かつを切る時ばかりは先生も私も黙り、胸元のピンマイクをカメラに映らないギリギリのところまで近づけて…

「ザクっ」。

美味しい音が、より美味しく聞こえるようにと、みんなで力を合わせていました。

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3分クッキングは楽しく美味しく学びは多く。ライフワークのような番組でした。

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美味しさを伝えるために(笑)試食も欠かせません。


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