フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

 

「良い天気ですね」
「秋らしい風ですね」
といった気候に関することや、
「お元気ですか」
「どうされていましたか」
と相手のことを気遣ったり、
「○○って知ってる?」
と夢中で話したり……
挨拶は、生活に深く根ざしたものや、今の関心事を映しています。

 

オリンピック期間中は、
「○○見た!?」
「感動したよ〜」
といったやり取りが多かったですね。

そして今ならではの挨拶が、
「ワクチン打った?」

ただこれは、他の挨拶とは違う面がある気がして、個人的にはちょっと懸念がありまして……。
でも直感だけで話すのは申し訳ないので、まずはちょっと調べてみました。

個人情報保護法では「要配慮個人情報」として、健康診断などの結果、患者さんの病状や治療など以外にも、病院等を受診したということ、薬局等で調剤を受けたということも、要配慮個人情報となるそうです。
ワクチン接種が、こうした要配慮個人情報に当てはまるのか、ボーダーライン上なのか、全くの圏外なのか、素人の私には分かりませんが、近しいものに感じています。

実際、
「1人で子どもを抱え、万が一にも倒れるわけにはいかない。任意ですよね。ほっといてよ」
といった声も、
「ワクチン打ちなよって言われたら怒るのに、ワクチン打つのやめなよと言ってくる矛盾……。ほっといて頂けると嬉しい。ご心配のお気持ちだけ頂戴して、自分のことは自分で決めます」
といった声もあって、
共通しているのは、私はあなたたちの気持ちや行動を尊重しているのに、どうして一方的に踏み込んでくるの、という気持ちです。

一緒に考えてみたかったことは、個人情報云々という頭でっかちな話ではなく……
人は無意識に、これが普通、これが常識、これが当然、と自分の経験や価値観に重心を置いてしまいがち。
「みんな同じ」と思い込んでしてしまうことも、「みんなそうだから」と流されてしまうこともあります。
そうした自覚のないまま、ときには善意だからと、人を傷つけたり追い込んだりしてしまうことがあります。それが、受け取る側にとってはモラハラ、パワハラになることもあり得ます。

セクハラを例にとると、そんなこと言ってたら何も会話できないじゃないか、なんて言う人も一部にはいるようですが、特定の何かを話してはいけない、ということではなく、自分の気持ちを押し付けてしまっていないか、相手の気持ちはどうなのか、を常に意識しておくことが大切、と言うことだと理解しています。

デリケートな話をあまり気にしない人もいれば、家族にも話づらい人もいる。そんな個人の違いはもちろん、1人の心の中で、揺れ動いたり、変化していったりすることもあります。
日頃の会話でも一番大切なことですが、特にデリケートな内容のときに忘れてはいけないのは、相手の気持ちを汲みとろうとする思いやりと、「人と自分とは違うもの」という認識を持つことだと、改めて感じています。
 

馬場典子のフォトギャラリー
▼右にスワイプしてください▼

三鷹天命反転住宅>>
 


前回記事「アナウンサーが喋ってはいけないとき」>>