運動のほかにもう一つ、認知症の発症と関連しているかもしれない生活習慣として、睡眠が挙げられます。

睡眠をとりすぎると、頭を使わなくなって認知症のリスクになるのでしょうか? あるいは、睡眠がとれないと、疲労やストレスがたまって認知症のリスクになるのでしょうか? 一体どうなのでしょう。

これに関しては、興味深い研究があります。

 


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ショートスリーパーは認知症の発症率が高い


2021年4月に報告された睡眠と認知症に関する研究は、被験者が多く、8000人ものデータを追いかけているのが特徴です(参考文献1)。この研究では、被験者を50歳の時から25年間追いかけ、睡眠時間の長さによって認知症の発症に違いがあるかを見ています。睡眠時間は、50歳、60歳、70歳の時点でのデータをそれぞれ見て平均値をとっています。

その上で、平均の睡眠時間が6時間以下の人をショートスリーパー(短時間の睡眠)、7時間の人をノーマルスリーパー(通常の睡眠)、8時間以上をロングスリーパー(長時間の睡眠)としています。

すると、下のグラフのように中高年の時期にノーマルスリーパーの人はショートスリーパーの人よりも認知症のリスクが低下して見られることがわかりました。

 

また、平均の睡眠時間が4時間、5時間、6時間と伸びるにつれて認知症のリスクが低下していく負の相関関係が7時間まで見られることがわかりました。7時間以降についてはほとんど横ばいであることもこのグラフから見てとれると思います。

逆に言えば、7時間より睡眠時間が短いほど認知症を発症するリスクが増えそうです。

 
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