もしかしたら「認知症を予防するサプリメント」というものをどこかで目にしたことがないでしょうか。
オンラインストアを見てみても、「イソフラボンが豊富な大豆タンパク」や「抗酸化作用のあるビタミンサプリメント」などの人気があり、認知症予防あるいはそれを匂わすような宣伝とともによく売られていることが分かります。
そういった宣伝の根拠は、どこから来るのでしょうか。本当に認知症を予防できるという研究結果は存在するのでしょうか。
関連記事
認知症リスクが下がるかも!?中高年のベストな睡眠時間は?【医師が解説】>>
根拠で塗り固めた宣伝文句に疑いの目を
例えば、イソフラボンには高い抗酸化作用や抗炎症作用があり、これが認知症予防につながると宣伝されています。
実際、過去の研究で酸化ストレスがアルツハイマー病の発症に一定の役割を果たしているということが示唆されており、それでは抗酸化物質を十分投与すればアルツハイマー病を予防できるのではないかという仮説がたてられた経緯があります(参考文献1)。
また、これに加えて、いくつかの観察研究で、「抗酸化物質をたくさん摂取している人と認知症リスク低下との間に相関関係がある」ということも示されました(参考文献2)。
ここまで聞いてしまうと、「なるほど、それなら抗酸化物質をたくさん摂れば認知症を予防できそうだ」と納得してしまいそうです。さらに、そこから派生して、「イソフラボンにも認知症予防効果があるに違いない、大豆を明日からたくさん摂取しなければ」と考えてしまっても無理はないと思います。
実際に、サプリメントを宣伝するブログ記事などを閲覧してみると、科学的根拠としてこのような研究を丁寧に引用しており、一見するとかなり信頼性も高いように見えます。また、国外の医師の名前も引用して「〇〇博士が提唱」などと、根拠で塗り固めています。
研究もされていて、海外の博士までそれを支持している。そうとなれば信じないわけにはいきません。しかし、本当はそれこそ注意が必要です。サプリメントを売る会社にとっては、その商品を売るためなら、どんな文句でも使ってくるでしょう。しかし、わざわざよく知らない博士の名前を引用してくるところにこそ、疑いの目を持つ必要があるかもしれません。
Comment