皆さん、こんにちは。梅津奏です。

以前は年を重ねる程に、自分の世界や立ち位置が固まっていってマイ箱庭ができていくわ~これが大人になるってことなのね~と思っていたものですが。

最近は公私ともに、どんどん自分の枠が広がっていき、更に枠の外にいる人やモノとの交流が活発になってきているような。私のように保守的に生きている人間ですらそうなのですから、もっとそれを強く実感している人も多いことでしょう。

良い時代だなと思う一方で、難しいなと思うことももちろんあります。その筆頭が、「異文化コミュニケーション」。

今日はその参考になりそうな、「異種格闘技戦」=対談集をえりすぐってご紹介します。


「小澤征爾さんと、音楽について話をする」小澤征爾×村上春樹

 
僕としては小澤さんの話を聞くにあたっても、その姿勢をできるだけ崩さないことを心がけた。言い換えれば、好奇心の旺盛な、そしてできるだけ正直な素人の聞き手であることを心がけた。たぶんこの本を読まれる方の大部分は、僕と同じような「素人」の音楽ファンなのだから。

無類のジャズ愛好家として有名な、作家の村上春樹さん。ジャズと同じくらいクラシック音楽もお好きなようです。小澤征爾さんとは娘の征良さんを通じて知り合ったとか。

この対談集には、小澤さんの経歴について、マーラーについて、オペラについて、後進の指導について、二人が自由に語り合った様子がそのまま収められています。使う語彙や話法がそれぞれに独特な二人ですが、その互いの世界観を悠々と超えて交歓している。なんて強くて、そしてしなやかな生き物なんだと思いました。二人とも恐ろしいほど知的なんだけれど、なんだか感覚の研ぎ澄まされた野生の動物みたい。


「身体の言い分」内田樹×池上六朗

 

「異種格闘技戦」にめっぽう強い印象の、哲学者・思想家の内田樹さん。様々な業界の人と、対談集を出されていますね~。私も色々持っていますが、特に好きなのがこちらです。

内田さんのお相手は、「三軸修正法」という原理にもとづき体の不調を治療する治療家、池上六朗さん。哲学者と治療家? なんだその組み合わせ?

本を読み進めていくと、合気道もなす内田さんと池上さんの「身体論」が非常に近しいものであるということが分かってくるのですが、この本の面白さは内容はもとよりその「なりたち」だと私は思います。

でも、みなさんがまだ若くて(若くなくてもいいです)、自分はいったいこの世界にどんな「ミッション」を託されて送り出されたのかとふと考えることがあるとしたら、頭を悩ませる必要はありません。ご縁に導かれて進めばいいのです。ご縁が必ずみなさんを「いるべきとき」に「いるべきところ」に導いて、「なすべきこと」をさせてくれます。みなさんの仕事は「ご縁」が接近してきたときに、それを感知し損なわないこと、それだけです。

池上さんがあとがきで「この本のキーワードはライト・タイム、ライト・プレイスです。」と書いています。そしてこの本はまさに、身体感覚の鋭敏な二人の俊英が、「ご縁」に導かれて集ってできたもの。自分の枠を越えて誰かと出会うときって、きっとこういう「ご縁」にぴんとくる瞬間があるんだろうな。


「料理と利他」土井善晴×中島岳志

 

さて最後にご紹介するのはまた、ぱっと見「異種」感の強い組合せです。

「一汁一菜でよいという提案」等の著書でも有名な料理研究家の土井善晴さんと、政治学者の中島岳志さん。中島さんは、NHK「100分de名著」の講師もされていたんですね。写真や動画を拝見するたびに、視線が少年っぽくて素敵だなと思います。

料理で難しいことを言うつもりはないんですけど、料理はあまりにも身近なことで、それで料理はそもそも女性の問題なんですね。(中略)ですから、料理に、中島岳志先生のような男性政治学者が関わるのは、これが初めてのことだと思うのです。それって、なかなかすごいことですよ、なんて言ってしまう科学者や研究者はいないんですけど、私は言うんです。

言葉尻だけとらえるとちょっと問題発言のようかもしれませんが、中略部分にきちんと説明があります。

中島さんが奥さんの熱心な布教により土井さんのことを知ったということも、この本がコロナ禍でのオンライン公開対談を下敷きに作られたということも、なんだかこの本の風通しの良さを裏付けているような気がします。何より、二人とも本当に言葉が軽やか!型にはまった重苦しい礼儀や様式ではなく、シンプルな相手への敬意と好奇心が滲み出ています。私もこういう風に、人と会話したいなあ。


これらの本から見えてくるのは、対談というリングに臨む人たちの知性の高さと野性の強さ。

知性は、広い教養と突出した専門性。野性は、アンテナの高さ・好奇心・柔軟性かな。うむ、私も修行あるのみです。

 

三連休初日は大雨でした。安全な室内でひたすら読書です。
快晴だった敬老の日は散歩へ。祖父母に葉書をカキカキ。奥に見えるのはミモレ×フェリシモのエブリデイバッグです。(チャックをしめなさい)