初のアルツハイマー病治療薬とは
認知症に有効な薬の研究が進められる中、アデュカヌマブという新たな役者が登場しました。
アデュカヌマブは、その製造過程は異なりますが、前回のソラネズマブと同様、Aβ(アミロイドβタンパク)に対して働きかける抗体製剤です。アデュカヌマブの効果を評価するため、EMERGE試験とENGAGE試験という二つの試験が計画されました(参考文献1)。
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しかし、試験の中間解析はソラネズマブと同様に、認知症患者の症状を改善しないという結果を示しました。2019年3月には、これ以上試験を持続しても良い結果は得られないとして、試験の中止がアナウンスされることとなりました。このニュースは研究者たちにさらなる失望を与えました。
しかし10月になり、それをひっくり返すようなニュースが届きました。
二つの試験の一方、EMERGE試験で、より多くのデータを用いて再解析した結果、最高用量のアデュカヌマブを投与していたケースでは、投与開始後78週の時点で、認知機能の低下を2割ほど遅くしていたというのです。
この結果をもとに、米国の医薬品メーカーであるバイオジェンは米国FDA(米国食品医薬品局)への承認申請を行い、なんと初めてアルツハイマー病の治療薬として認可がおりることになりました(参考文献2)。
このニュースは、様々なかたちで世界中の認知症の専門家、医療者を驚かせました。これをポジティブに捉えるのであれば、失望ばかりを与えてきたAβ仮説に再び光を差し込むような出来事です。
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