世界の終わりと呼ばれるサン・ヴィンセンテ岬で、この世に終わりは無いことを知ったアキ。アギィたちと別れリスボンへ。観光地で日本人ツアー観光客と偶然隣り合わせになり……。

 

私はずっと、結婚や妊娠をしたら「全てが終わる」と思っていました。

私にとっての「全て」とは、もちろんこの絵を描く仕事。小中高と隠れながら絵を描き、浪人までさせてもらって美大に進学し、せっかく幼い頃からの夢だった職業に就くことが出来たのに、結婚や妊娠でそれまで積み上げてきたものを諦めなければならないのは女性である私のほう。

しかも、結婚したら働きながら家事育児をほぼ一人でやらねばならず、さらには自由に外出外泊したり好きに実家に帰ったりも出来なくなり、付き合っている間は比較的男女平等なのに、結婚した途端何故こんなにも女性の負担が増えるのか……、解せぬ、全く解せぬ!! 結婚って奴隷制度じゃん! と、本気で思っていました。

結婚適齢期だったアラサー時代、それを口にすると周囲からは「変わり者」「頭がおかしい」「わがまま」「負け犬」……などなど、散々言われていたのですが、あれから10年。時代は変わりつつありますね。ようやく! やっと!(感涙)

晩婚で散々周囲には心配をかけてしまったけれど、今私は何一つ失っていないし、結婚してから世界が狭まるどころか何倍にも広がっているし、頑なに古い結婚観を拒否して暗黒の独身30代を乗り越えてきた自分を褒めてあげたい。

自分は結婚に向いていないとか、結婚できないのは性格の問題だとか、もしそう思っている人がいたら、それはもしかしたら私の様に「結婚観が自分に合わない」だけかもしれません。もちろん結婚という形に囚われる必要はないけれど、私はそれによって自己肯定感が下がり、パートナーが欲しいという気持ちまで否定してしまっていたので……。

この漫画は、かつての自分のように結婚に悩まされている女性が、少しでも心が軽くなったり前向きになれるきっかけ作りができたらなという想いで描いています。
 

 


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文・漫画/久保木亜紀