医師は自分の処方ではない薬は中止しにくい


内科診療を行う医師は特に、自分の持つ専門領域の治療法の多くが薬物療法になります。このため、目の前の患者さんが病気で困っていれば、最終的な解決策が薬になることもしばしばです。

それは、必ずしも悪いことではないですが、「悪くなる」こともあります。

 

たとえば、ある医師がある薬を患者に処方し始めた後に、担当の医師が変更になった際、新しい医師にとってその薬は自分で始めたものではないため、「きっとある時点で必要になったのだろう」という仮定のもとにその薬を続け、もう不要になっても気づかずそのまま続けてしまうことがあります。

 

もちろん必要だからこそ続けるという判断も生じうるわけですが、そうでない場合もあるのです。

あるいは、専門領域の違う2人の医師が同じ患者にそれぞれ薬を処方し始めた場合、他方がその薬を始めた理由が詳しくわからず、専門外であることもあり、お互いに中止しにくいという事情が生じることもあります。

このようなそれぞれの事情で、不要になった薬が続けられてしまうことがあります。その上で、何か新しい症状や病気が出た際に新しい薬が始められる。この結果、薬の足し算はされ続けるも引き算はされず、薬の数が積み重なっていくということになります。

 
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