薬を複数飲まなければいけないような状況になると、一つ気がかりなのが薬の飲み合わせかもしれません。

私も新しい薬を処方する際に、「今飲んでいる薬との飲み合わせは大丈夫でしょうか?」という質問をよくいただきます。

多くの薬は、飲むと胃や腸から吸収されて、血管の中の血液に運ばれて全身に広がっていきます。その後、肝臓や腎臓で処理されて(この過程を「代謝」と呼んでいます)、体からなくなっていきます。

「グレープフルーツ問題」って?「薬の飲み合わせが悪い」ってどういうこと?【医師・山田悠史】_img0
 

体からなくなる速度は薬によって大きく異なります。飲んで数時間で代謝されてしまうものもあれば、24時間効果を発揮し続けるような薬もあり、様々です。

 


薬を代謝するのは肝臓と腎臓


主に薬を処理する働きをしているのは、肝臓と腎臓ですが、それが主に肝臓なのか、腎臓なのか、あるいは両方の影響を受けるのかも、薬によって大きく異なります。同じ働きを持つ薬でも、代謝される臓器が異なることもあり、それぞれの患者さんで肝臓や腎臓の機能を見ながら、医師は薬を使い分けています。

また、使い分けられるような薬の種類がない場合には、肝臓や腎臓の機能に応じて、薬の投与量を減らす、などの対応もしています。そうすることで人それぞれの臓器の機能に合わせて同じレベルの薬を投与することが可能になるのです。

「薬の飲み合わせ」というのは、よくそのような代謝の過程で問題になります。

 
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