複数の病院に通うと薬の問題が生じやすい


年を重ねると持病が増え、必要な薬も増えてしまいます。しかし、たとえ高血圧や糖尿病、脂質異常症など様々な症状が重なってしまっても、全て一つの診療科(この場合はおそらく一般的な内科)で治療が完結するような状況で、その医師が十分配慮していれば薬の問題は起きにくいでしょう。

ですから、一般内科で完結している状況ではまだ良いのですが、実際には、腰や膝が痛くなり、整形外科にも通い始めることがあります。そうなると、医療側のプレイヤーが2人に増えることになります。あるいは、心筋梗塞を発症し、心臓の専門家も必要だとなれば、プレイヤーは3人になります。

この3人の医師の間でしっかりとコミュニケーションが取られていれば、あるいはこの3人の処方の監視をする、かかりつけ薬剤師のような存在がいれば、問題になることは少ないでしょう。

 

ただ、残念ながら多くの場合、そうではありません。せめて3人の医師が全て同じ病院で働いていれば、お互いのカルテをチェックすることができ、薬のリストもカルテの中で参照できるため、問題は生じにくくなります。

 

しかし、かかりつけ医は近所のクリニック、整形外科は別のクリニック、心臓の専門家は少し離れたところにある大きな病院で、となることもあります。そうなると、医師同士は互いの名前すら知らないという状況が生じえます。また、それぞれの医療機関で別々のカルテシステムが用いられ、互いの診療内容も知り得ないということになります。

そもそも患者側から「整形外科にかかっている」という説明がなければ、それぞれの医師が、通院の事実すら知らない可能性も考えられます。

そうすると、どのようなことが起こりうるでしょうか。少しシミュレーションをしてみたいと思います。

 
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